更新日:2020年08月21日 17:16
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小屋と一緒に旅に出る…すれ違う人が必ず振り返る“動く小屋”

 気に入った場所が見つかったら小屋を建てる。そこが、遊びの拠点になる。プライベートに自然と向き合う。小屋という装置がそんな贅沢な時間をくれる。小さな小屋だからこそ、お気に入りのデザインを追究できる。そんな小屋の魅力とは?

小屋のある暮らし訪問 第6回 竹内友一さん(山梨県北杜市)

小屋のすべて

林のなか、海のそば、街なか、などなど。ロケーションのよい場所を見つけてクルマとタイニーハウスを停めると、そこが“わが家”になる。出入り口のドアは、英国製のアンティークもの 

 切妻の屋根を載せた小さな小屋が、クルマに引かれて山林の道を走っていく。すれ違う人は、必ずといっていいほど振り返り、笑顔で手を振る子どももちらほら。タイニーハウスやツリーハウスの製作を手がける、竹内友一さんの「移動する小屋」だ。  いわゆるトレーラーハウスであるが、既製品ではなく、特注した車台に小屋を製作して載せたもの。仲間と一緒につくり上げた。

どの場所に駐車してもそこがマイホーム

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動く小屋の中で、仲間と談笑する竹内さん

 この動く小屋は、映画のキャラバン上映会のために用意したもの。竹内さんは、映画監督の松永勉さんと共にアメリカ西海岸のタイニーハウスムーブメントを取材し、実際の暮らしや生き方を紹介するロードムービー『simplife』を製作。その上映で2017年、全国各地を巡業したのである。これまでも竹内さんはタイニーハウスをいくつか製作したことはあったが、完全に自分用につくったのは、今回が初となる。
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旅の途中で買って取り付けたプレートには、この小屋の精神が現れる

 ほかの現場で出た廃材や端材を活用し、牽引するのにバランスのよい形状とサイズで製作。松永さんと泊まりながら移動するため、斜めになれば寝られるサイズでロフトをつくりつけた。そして、竹内さんの工房や家に置かれていた家具を詰め込み、全行程で2カ月にわたる旅に出た。
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タイニーハウスの間取り図

 上映会は当初は20カ所の予定が、結局は全41カ所で開催。走行距離は5700kmに及んだ。途中、車台のブレーキが故障したが、小屋のほうは何の問題もなし。高速道路の巡航も難なくこなした。上映会は、実際にタイニーハウスを見てもらうオープンハウス、ムービーの上映、座談会という3点セット。夜は、打ち上げへと続く。「他人の家の庭などに停めさせてもらうのですが、打ち上げでは地元の人をタイニーハウスに招いていました。どこに行っても“マイホーム”なんですよ」と笑う。
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小屋のすべて (扶桑社ムック)

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