更新日:2020年08月31日 15:14
仕事

コロナで収入がゼロになった50代派遣男性「コンビニですら働けない」

coctail and banquet catering party event

写真はイメージです

コンビニバイトの募集なし、ウーバーイーツは50代には辛い

 わずかばかりの蓄えや公的援助だけではさすがにもたず、最近は、近所のスーパーの見習いバイトも始めた、というSさん。周囲の配膳会の仲間たちも、大学生ならつぶしはきくものの、Sさんのような40代、50代のベテランとなると、もう、どこにも行くところがない……。 「今は、業績悪化や職にあぶれた人たちが競って応募するのか、コンビニの募集もほとんどありません。体が動けば、ウーバー・イーツなどの出前系、車の免許を持っていれば宅急便の配達が定番のようですが……」  Sさんのようなベテラン登録スタッフが苦しいのだから、「配膳会」という業界自体も苦しい。 「私が登録している会社は、もともと家政婦さんを派遣していたようなところで、三代続いているのですが、大手ホテルとのパイプができてから、仕事のほとんどがホテルの配膳スタッフの派遣業務でした。つまり、春から半年近くは仕事がほぼゼロ。それでも今まで、なんとか副収入のアパート賃貸業などで持ちこたえているみたいですが、体力がない会社は、もう、これがあと数か月続いたらアウトでしょう」  いや、影響は「配膳会」ばかりではない。すでに大手ホテルでも社員、ことに宴会場担当の人間の早期退職募集が進行しつつある。こうした、宴会サービス業界に「経済死」を免れる一手はあるのか?

あと、もう少しの辛抱。それまでは持続化給付金で乗り切る

 企業再生ドクター・大和竜一氏の回答はこうだ。  宴会需要は、一切なくなっている状況と思います。秋は結婚式のシーズンですが、コロナの影響で規模縮小や取りやめなど、明らかに配膳人派遣会社の経営は辛いと思います。  解決策とすれば、宴会場への配膳人派遣でなく、農家や配送業など、人材不足感の強い業種への一時的な派遣を模索するしかないでしょう。  とにかく、コロナ終息まで、あと少しの辛抱だと心を奮い立たせてください。この1年間、我慢できるように、従業員やバイト人材のモチベーションアップを図ってください。  もちろん、派遣先から突然の休業を要請された派遣会社として、1日人あたり最大1万5000円の雇用調整助成金の支給対象になると考えられます。最大200万円の持続化給付金、テレワーク関連など各種助成金や、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症当別貸付、その他銀行などの民間金融機関での「実質無利子・無担保・据置最大5年・保証料減免の融資」などを積極的に活用してください。
大和竜一

大和竜一氏(イラスト/青木雄二プロダクション)

 コロナ禍でもらえる給付金や助成金、無利子・無担保融資などを細かく解説した大和氏の著書『コロナ大不況で「経済死」しないための本』には、危機に直面した業界の資金繰り、経費削減、返済猶予のノウハウも紹介されている。ぜひ、一読してほしい!
(やまと りょういち)中小企業再生ドクター。足利銀行にて温泉旅館の再建に従事し、ソフトバンク・インベストメント株式会社(現SBIホールディングス株式会社)にて数々のM&AおよびIPOを主導。その後、ホテル、上場外食企業、地方中堅デベロッパー、地方の老舗酒造メーカーなどで経営再建に従事。新型コロナウイルス問題発生当初は首都圏の中堅美容室グループのマネジメントとして様々な対応を主導。現在は、関西地方の中堅の自転車部品製造メーカーの代表取締役社長に就任。最新刊『コロナ大不況で「経済死」しないための本』(扶桑社刊)

コロナ大不況で「経済死」しないための本

コロナと戦うすべての中小・零細企業経営者・個人事業主、そして、そこで働く従業員の方々、すべてにぜひ読んでいたたきたい「コロナで経済死」しないための本です!
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