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五輪バブルから急転直下の経営者「売上げは7、8割減…どこまで続くのか」

冷蔵庫で凍死

写真はイメージです

7月にパッタリ止まった注文

 不思議なもので、コロナショックになっても、すぐには注文はなくならなかった、という。 「4月には、世の中、コロナ一色になっていたでしょう。だから、当然、ウチあたりも影響を受けるだろうと覚悟していたら、それほどでもない。なぜか、ワインセラーの注文も続いてました。あれ、私たちの業界はそんなにヒドくならないのかな、とちょっと安心していたんです」  コロナ禍は、やや遅れてやってきた。  突然、注文がバッタリ止まったのは、長雨の続き例年になく涼しかった7月に入ったくらいから。飲食店からの依頼もそれ以前と比較して、7割減ぐらいまで急減。もちろん、ワインセラーの注文もまったく、なくなった……。 「恐ろしいのは、この状態があと、どれだけ続くのか、さっぱり展望が見えないことですよね。年末の、忘年会シーズンまで売上7割、8割減が続くようなら、ウチあたりも、本気で会社をたたむところまで考えなくてはいけない。少なくとも来年のオリンピック需要は、なかなか期待できなさそうな気もしますしね……」  世の中には、オリンピック景気にすがりたい業界や人々がいたるところにいる。五輪バブル崩壊後の地獄の中にいる業務用冷蔵庫メーカー社長はどうすればいいのか?

金融機関に借り入れ金の返済猶予、利子免除をお願いしてみる!

 大和竜一氏の回答はこうだ。  東京オリンピックがあと1年後に本当に開催されるとしても、新型コロナウイルス感染症対策のため、観客を絞り込むなどの措置が起これば、訪日外国人も期待できません。また、東京オリンピックそのものが中止となる最悪のシナリオもありえます。  このような状況では、金融機関への資金支援の要請は当然です。新規の借り入れ以外にも、すでに借り入れている融資の条件変更の交渉をぜひとも行ってください。融資の返済条件を変更してもらい、返済期限の延長や借入金利の引き下げを頼み込んで、毎月の返済額を少しでも減らしてもらうこと、あるいは、一定期間、返済をストップさせてもらうなど、とにかく資金が流失しないようにすることが必要です。  ただし、金融機関からの借入先が複数あり、とても経営者ご自身で対応できないこともあると思います。各都道府県にある中小企業支援協議会に相談窓口があるので、債務整理のアドバイスをもらってください。  ひょっとしたら、その延長線上に民事再生法の申請も考えてみるべきかもしれません。民事再生法を申請するにも、とにかく資金が枯渇する前に、手を打つべきです。裁判所への預託金や弁護士費用がなければ、倒産すらできません。とにかく余裕をもって対応していかないと、事業改善もできるものも、できなくなってしまいます。
大和竜一

大和竜一氏(イラスト/青木雄二プロダクション)

公的援助などコロナ禍の苦境に立ち向かう方法はある!

 コロナ禍で立ち往生する経営、命を削る資金繰りにも行き詰ったら、いっそ、廃業・倒産の道もあることを説いた大和氏の著書『コロナ大不況で「経済死」しないの本』には、自己破産や生活保護申請の手法も紹介されている。安心してほしい、コロナ以後に幸せな生活を送るための解決策はたくさんある!
(やまと りょういち)中小企業再生ドクター。足利銀行にて温泉旅館の再建に従事し、ソフトバンク・インベストメント株式会社(現SBIホールディングス株式会社)にて数々のM&AおよびIPOを主導。その後、ホテル、上場外食企業、地方中堅デベロッパー、地方の老舗酒造メーカーなどで経営再建に従事。新型コロナウイルス問題発生当初は首都圏の中堅美容室グループのマネジメントとして様々な対応を主導。現在は、関西地方の中堅の自転車部品製造メーカーの代表取締役社長に就任。最新刊『コロナ大不況で「経済死」しないための本』(扶桑社刊)

コロナ大不況で「経済死」しないための本

コロナと戦うすべての中小・零細企業経営者・個人事業主、そして、そこで働く従業員の方々、すべてにぜひ読んでいたたきたい「コロナで経済死」しないための本です!
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