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タクシーにワンメーターで乗るのはマナー違反? 運転手の本音

タクシー行列

写真はイメージです

銀座の夜はロング狙い

 銀座や六本木などの繁華街でタクシー乗り場に並ぶ長い列。その多くは上客(ロング客)を狙って、時には1時間以上順番を待っている。タクシーにも時間単価があり、各自目標によって設定金額はまちまちだが、日中は3000円、青タン(※)以降は4000~5000円と金額設定している人が多い。それ以上の高単価が期待できる銀座や六本木などで並ぶドライバーは、まさしく一攫千金を狙う。他の乗り場に比べてロングの確率が数段に高い。1万円以上期待するもので時には3万円を釣り上げることもある。その銀座の1本だけで1日の売上げの半分以上をあげることさえある。そこにワンメーターの乗客だったら破産である。期待が大きい反面落胆も大きい。そんな心のモヤモヤが態度に出てしまうのであろう。  ちなみに同じ乗り場でも私鉄沿線の駅の場合は、コツコツ型のタイプがピストンして回数を稼ぐという場所とあって近場が大半だ。最終電車にもなると電車に乗り遅れた人などもおりロングの可能性が出てくるが、銀座などに比べロングを期待して並ぶドライバーは少ない。ロングの出る確率も銀座などに比べかなり低い。単価は、せいぜい1000~3000円くらいであろう。※青タン……割増時間(22時~5時)のことをさすタクシー隠語。メーターが青く光ることからきている。

気にせずワンメーターに乗るには

 タクシーのヘビーユーザーは、短い距離を乗る時、ドライバーに気を使ってか自分が嫌な思いをするのが嫌なのか定かではないが、決まって流しのタクシーを捕まえる人が多い(中にはそんなことを臆することなく、短距離の銀座のお姉さんもいるが)。実際のところ、タクシーを使う側からしてみれば近い遠いはどうでもいい話であって、そこに行きたいから利用するだけの話。その為のタクシーであって、公共交通機関である(タクシーが公共交通機関かどうかの議論はまた違う時の話として……)。    乗客であるお客様が気を使うようなことではないが、やはり気にせずにワンメーターの距離を乗るのであれば、付け待ちをしていないタクシー、つまりコツコツ型の流しのタクシーを狙うといいだろう。では、コツコツ型のタクシーを見分けるポイントとは何であろうか。アイコンタクトが出来るタクシーを見つけること。手もあげていないのにタクシーが目の前に停まった経験などおありであろう。そのタクシーこそがコツコツ型のタクシーである。コツコツ型といっても、一番侮れないハンターであり、常にお客に飢えている。少しでも乗る雰囲気を感じとれば手をあげていなくても停まる。売上げにもブレはなく、売上げのいいドライバーの殆んどがこの部類に入る。  ワンメーターなど短い距離を乗りたいときは、乗る雰囲気を出しつつ手をあげずに道端に立つ。そしてアイコンタクト。一度試してみてはいかがなものであろうか。別にこちらから頼んだわけではなく、タクシーが勝手に停まったのだから気持ち的にも何も気兼ねすることなく行き先を言えるであろう。
物流ライター。ライター業の傍らタクシードライバーとして東京23区内を走り回り、さまざまな人との出会いの中から、世の中の動向や世間のつぶやきなど情報収集し発信する。また、最大手宅配会社に長年宅配ドライバーとして勤務した経験とネットワークを活かし、大手経済誌のWEB版などで宅配関連の記事も執筆する。タクシー・宅配業界の現場視点から、「物」・「人」・「運ぶ」・「届ける」をそれぞれハード(荷物・人)だけではなく、ソフト(心と気持ち)の面を中心に記事を執筆中。ブログ「吾は巷のインタビュアー!」
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