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タクシーにワンメーターで乗るのはマナー違反? 運転手の本音

ワンメーター

短距離乗車に引け目を感じる人は多い

 初乗り運賃も安くなり手軽な交通機関としてニーズが広がってきたタクシー。4人で乗れば路線バスよりも安く済む時もある。そのような気軽に乗れる状況を背景に「すぐそこなんですが、いいですか?」と断りを入れて乗ってくる人がいる。なぜ乗客が気を使わなければならないのか? という疑問をその言葉を聞いたドライバーも言った乗客も抱いたことはないだろうか。  タクシーを利用したことのある人の中には、行き先の短い場所を伝えたところ、「ちぇっ」と舌打ちされたり、あからさまに断る(立派な乗車拒否)タクシーに遭遇した人いるであろう。このようにタクシードライバーにも残念な人はいる。その残念な人から心許ない言葉を浴びれされ、タクシーにトラウマを感じてタクシーに乗れなくなってしまった人もいる。  足の悪い筆者の母が外出の際、タクシーを使えばというと「すぐそこだし、運転手に悪いから」と、年老いた母は杖をついて歩いて行った。  またある日、カートを引いた老女を乗せた時に「やっと停まってくれた、ありがとうね」と安堵の顔をしてお礼まで言われた。話を聞くと何台ものタクシーが通り過ぎたらしい。恐らく老女を見て短距離と察しスルーしたのであろう。この暑い中を待っていたと思うといたたまれない。あまりにも露骨すぎる行為に同業者にしても思うところがある。このような行為が世間に広まり、嫌な経験がない人でもそんな「短距離は運転手が嫌がる」というイメージがついてしまい自然と発した言葉かもしれない。

コツコツ型より一発逆転型

 タクシードライバーは実際のところどうなのか? 短い距離の乗客を疎ましく思うのか?それは、ドライバーの営業スタイルによるところもある。  タクシードライバーには、大きくわけてコツコツ型と一発逆転型がある。  コツコツ型のドライバーは回数をこなす。単価よりも数で勝負。行動的でありながら堅実な流しタイプ。一方の一発逆転型のドライバーは、数よりも単価で勝負するギャンブラー的な付け待ちタイプ。せっせと荷物を運ぶアリに対して草陰に隠れ獲物を待つカマキリといったところだ。  その傾向がもっともわかる場所が夜の繁華街だ。
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気にせずワンメーターに乗るには
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物流ライター。ライター業の傍らタクシードライバーとして東京23区内を走り回り、さまざまな人との出会いの中から、世の中の動向や世間のつぶやきなど情報収集し発信する。また、最大手宅配会社に長年宅配ドライバーとして勤務した経験とネットワークを活かし、大手経済誌のWEB版などで宅配関連の記事も執筆する。タクシー・宅配業界の現場視点から、「物」・「人」・「運ぶ」・「届ける」をそれぞれハード(荷物・人)だけではなく、ソフト(心と気持ち)の面を中心に記事を執筆中。ブログ「吾は巷のインタビュアー!」

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