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「公営団地」ネット回線ひけない問題、団地の自治会が障壁に

「ネットの必需性」を理解できない自治会

ケーブル そしてそれ以前に、団地の自治会が立ちはだかる。  団地=集合住宅である以上、有線LANの工事をするのに自治会に無断というわけにはいかない。が、ここで許可が下りない可能性も当然ある。  団地も高齢化が進んでいる。普段ネットというものにまったく接しない高齢者が自治会の重鎮だった場合、「ネットの必需性」自体を理解してもらえない顛末すら考えられる。これはもはや概念の問題で、知らない人に教えるのは至難の業。  ならば有線LANは諦め、無線LAN即ちモバイルWi-Fiに頼るか?  それなら工事も許可も必要ないが、モバイルWi-Fiは時間によって通信速度が極端に低下してしまう欠点がある。  このあたりは筆者も経験済みだ。スマホの4G回線の利用量を抑えるために、極力モバイルWi-Fiルーターを持ち歩くようにしている。が、午後5時から9時あたりはやはり「激戦区」。この時間帯は利用者が多いため、無線も混雑してしまうのだ。こうした「常時安定性」や「通信速度」という面で、無線は有線に太刀打ちできないのが現状である。

工事不要でネット環境を手に入れる方法

 しかし、時代の波はそんな団地事情に気遣うことはない。新型コロナウイルスの世界的拡散が、人類をオンライン環境に向かわせている。アメリカのトランプ大統領ですら新型コロナに感染してしまったのだ。もはや「ネットなど必要ない」とは言ってもいられない。  では、団地住まいの人はどのようにして安定したネット環境を用意すればいいのか?  考えられるのは「ホームWi-Fiルーター」である。これはモバイルWi-Fiルーターよりも安定し、通信速度も比較的速いのが特徴だ。KDDIグループのUQ WiMAXが取り扱っているホームWi-Fiルーターがよく知られているが、下り最大速度は公称1.0Gbps。工事不要の無線設備だが、本体にLANケーブルのポートが備わっている。そこからPCに接続することも可能だ。  しかし、有線の安定性はやはり比類のない特徴である。もしも全国各地の公営団地の「オンライン化」が実現すれば、菅義偉内閣が目指しているはずの「デジタル改革」は長足の進歩を遂げるに違いないが――。<文/澤田真一>
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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