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渦中の「日本学術会議」と中国の関係/国防ジャーナリスト・小笠原理恵

 米中対立が激化するなか、自由主義諸国が国際経済安全保障上の脅威と考えている中国に対して、今も協力的な日本学術会議とはどういった機関でしょうか? 日本学術会議の会員の任命問題よりも、こちらの方が重大な問題だと感じます。日本学術会議は「中国科学技術協会との協力覚書」を交わしています。  この覚書の冒頭には、「日本学術会議と中国科学技術協会(以後、両機関)は、相互の関係を強化し、個人の研究者及びその関係者間のつながりを育むことは望ましいものと考え、以下の事項に同意後協力関係に入ることを希望する」とあります。  世界中に広がるAI監視システムの脅威は監視カメラのもたらすものですが、すでに昆虫サイズの飛行可能な監視カメラロボットも実用化されています。軍事技術転用可能な研究の流出のリスクを日本学術会議ではどう考えているのでしょうか?

参院閉会中審査における山谷えり子氏の質問の意味

 10月8日、参院内閣委員会において閉会中審査で山谷えり子参議院議員が「日本の学術会議の学者がこの千人計画に参加しているという報道もある。米国では外国から資金を受けた場合の資金の開示や外国人研究者を入れるときに過去の経歴の申告制度が決められている。日本の平和を守るための研究は禁じておいて、中国に対しては非常に強力的であると姿勢をどうかんがえたらいいのか。この問題について日本学術会議は委員会を開いてそのような問題を議論したことがあるのか?」という質問をしています。  答えは「日本学術会議においてお尋ねの議論がなされたことは承知しておりません」でした。世界が警戒している中国への危機感を感じることも、議論することもなかったようです。日本の科学技術イノベーション・成長戦略は総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が司令塔です。こちらは毎年、「科学技術イノベーション総合戦略」を策定し、実行しています。  会員の任命拒否問題で注目された日本学術会議でしたが、日本学術会議の存在意義そのものに疑義が生じる展開となってきました。防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」は将来の軍備用の研究だから参加を禁ずるのでは科学技術の未来を妨害するだけではないでしょうか?  日本学術会議の職員は国家公務員として報酬を受け、その組織は独立して職務を行う内閣府の「特別の機関」ですが、国家予算を使って国家の省庁の研究開発活動を禁止し妨害するなどあってはならない組織です。 国防ジャーナリスト・小笠原理恵
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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