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タクシー乗客の「ちょっとそこまで」の指示に戸惑う。「ちょっと」の距離について

「ちょっと」の判断基準は何か?

タクシー 地域別に「ちょっとそこまで」の距離、時間にはそれぞれの環境により違ってくるという。都心部から離れれば離れるほど「ちょっと」の感覚のズレが大きくなる。その感覚のズレは、距離だけではなく移動手段によっても違ってくるそうだ。公共交通機関があまり発達していない地域の移動手段は、主に自家用車となる。その「ちょっと」の判断基準は車に乗っている時間を示すらしい。よって距離と言うよりも時間の感覚が大きい。  したがって時速60kmで車を走らせたとすると、20分くらいが「ちょっと」の時間あり、20kmくらいが「ちょっと」の距離であるらしい。それに対して都心部では、公共交通機関が充実している。都心部では公共交通機関同様に分刻みにスケジュールが組まれて忙しなく時が流れる。電車がちょっと遅れるだけで文句を言うくらいだから、「ちょっと」の時間はせいぜい3分くらい。距離でいえば1kmくらいであろうか。 「ちょっと」の感覚は流れる時間に比例している。もちろん「ちょっと」は地域だけではく、年齢や仕事、生活環境によっても違ってくるだろう。その時の状況状態の心的要因で1分が10分に感じることさえある。  以上のことを加味すれば、ちょっとの距離と済まなさそうにチップをくれたスーツケースを持った紳士も、乗り逃げ犯の疑いがある清純な若い女性も(これは願望)、交通の便が悪い地方出身者であり、タクシーに乗るより歩いたほうが早いと思った恰幅のいいご婦人達は都内在住の人と考えれば合点が行く。  もし相手が「ちょっと」と言ってきたら、はっきりした時間や距離を摺り合わせたほうが無難かもしれない。そうすれば、ヤキモキせず、またストレスなく対応できるだろう。 「ちょっと」と聞いて落胆するドライバーに気を遣ってからどうかわからないが、「ちょっと」という言葉を使わず「とりあえず」と言う人も。「とりあえず」とは、答えを先延ばしにする感があるが、こんどは「とりあえず」ってなんだ? という疑問が出てくる。今回は、そのことは置いといて日本語は、曖昧ではあるが、使う場面などではとてもいい言語だと思う。
物流ライター。ライター業の傍らタクシードライバーとして東京23区内を走り回り、さまざまな人との出会いの中から、世の中の動向や世間のつぶやきなど情報収集し発信する。また、最大手宅配会社に長年宅配ドライバーとして勤務した経験とネットワークを活かし、大手経済誌のWEB版などで宅配関連の記事も執筆する。タクシー・宅配業界の現場視点から、「物」・「人」・「運ぶ」・「届ける」をそれぞれハード(荷物・人)だけではなく、ソフト(心と気持ち)の面を中心に記事を執筆中。ブログ「吾は巷のインタビュアー!」
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