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コロナで娘の結婚式延期、キャンセル料130万円を54歳父が10年ローンで返済

 コロナの影響で予定がくるい、思わぬ損失を負う人が後を絶たない。突然に訪れた絶望とはいかほどのものか。今回はコロナと不幸が重なり、娘の結婚式をキャンセルしなければならなかった事例を取材した。 [コロナで無一文]衝撃ルポ

娘の結婚式が延期に。キャンセル料肩代わりで10年ローンを背負う

 2020年9月に、娘の結婚式を予定していた笠井智彦さん(仮名・54歳)。そんな折、笠井さんの実父(86歳)が庭を剪定中に脚立から落ちて骨折してしまい、検査でさらに肺がんも見つかった。  だが幸い術後の経過はよく、現在はともに暮らしているが、結婚式で実父はもちろん家族もろともコロナに感染した場合、実父の命に関わる事態になりかねない。  そのため式を延期することにしたが、すでに変更可能期間を経過していたため、350万円の式場代金のうち約100万円、飛行機、ホテルの分を含めると合計130万円のキャンセル料を支払うことに……。 「父親の入院や手術の代金も負担していますし、もう貯金がないので10年ローンでの支払いです。給料も多いわけではないので。金額的には月々1万5000円ほどではありますが、この年齢であと10年と考えると気が重いです」  娘(26歳)は他県に在住。迷ったとはいえキャンセル料発生当日にキャンセルを決めるという間の悪さも仇になったとしか言いようがない。

娘の夫側に援助も頼めず、収入を増やす手立てもなし

 返済期間を縮める策はないのか。 「ウチの都合でキャンセルしたので、娘の夫側に援助は頼めません。私の仕事は残業代もつきませんし、副業禁止なので収入を増やす手立てはない。周囲の親族も高齢なのでパートやアルバイトもさせられない。定年後が非常に不安です」  ちなみに結婚費用は、笠井さんの援助のほかに本人たちもご祝儀と貯金で賄うつもりだったと言うが、娘の出産や子育ての可能性を考えると返済を期待できない。  現在は福祉関係の会社に正社員として勤務する笠井さん。コロナ禍でも収入に影響がまったくないのが不幸中の幸いだという。 「政府がもう少し早く、海外からの観光客を止めていたら……」と笠井さんの“恨み節”は続く。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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