収入減に会社倒産、投資失敗……コロナを機に無一文となる人が後を絶たない。突然に訪れた無と絶望とはいかほどのものか。今回は賃貸物件にまつわる事例。投資したサラリーマン大家だけでなく、たまたま住んでしまった入居者も不幸な事態に。もはや他人事とは思えない、日本の現実をリポートする!「明日はわが身」かもしれない!?
![[コロナで無一文]衝撃ルポ](/wp-content/uploads/2020/11/20201110PK0095-550x367.jpg)
サラリーマン大家の「コロナ破綻」で家を失う人が急増か
不動産関係者のB氏によると、コロナ禍直前に物件を購入したり、「五輪需要」の売り文句に誘われ民泊を始めるなど不動産投資家への打撃が著しいという。特に急増しているのがサラリーマン不動産投資家の破綻だ。
「その多くがサラリーマン投資家に人気のある、女性向けや外国人向けなどの特化型サブリース物件。自宅と賃貸用物件の二重ローンという綱渡りにも等しい収支バランスが、コロナショックで収入が見合わなくなることで、あっという間に破綻するのです」(B氏)
コロナ禍で需要と供給のバランスが崩れ、想定していた入居者が集まらない事態に陥っている。
「今、生き残っているのは生活保護者向けと中国人向け物件。中国人は退去時に必ず同胞を紹介してくれるので安定性がある」(B氏)
一方、居住者もサラリーマン大家の破綻に伴い突然の退去を迫られることになる。破綻後は競売にかけられ、賃貸契約者の同意の有無にかかわらず立ち入り調査が行われ、新しい所有者の意向次第では立ち退きが求められる。
運よく「オーナーチェンジ」物件となり、引き続き居住可能となる場合もあるが、「転売目的のブローカーによる購入や自分で暮らすための購入というケースも多く、運を天に任せるには少々分が悪い。大抵の入居者は競売の行く末を見守ることなく自ら転居を選ぶ傾向にあります」という。
もちろん入居者に対し転居費用の補償もなければ、手厚い支援が得られる制度もない。転居費用数十万円を突然支払えるほどの余裕がある人は多くはない。
安定性があるように見える不動産投資も、コロナ禍では砂上の楼閣さながらである。
※競売による退去は「占有屋ビジネス」などの悪用防止で明渡猶予期間6か月の現行制度に。引き渡し猶予は入居時の状況などで異なります。専門家にご相談ください
<取材・文/週刊SPA!編集部>