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『鬼滅の刃』ローソン一番くじフィギュア。680円を10万円に変える合法ワザとは

くじを100回引いても利益が出る

 改造フィギュアの販売は、場合によっては法に接触することもある。それは該当作品の意図する表現から逸脱している例にあてはめられる。  今回の煉獄フィギュアの場合は、いわゆる「魔改造」ではまったくない。だからこそヤフオク!に出品できるし、リペイントの技術力が生み出す付加価値は誰にも否定できない。その一方で、一番くじの景品を欲していた鬼滅ファンにとってはもどかしい出来事かもしれない。リペイントしていなくてもいいから、とにかく煉獄フィギュアが欲しかった! という人は少なくないはずだ。 煉獄杏寿郎 ちなみに、一番くじは1回680円。これを100回引いたとしても6万8000円である。仮にフィギュアが10万円で売れたとしたら、3万円以上の粗利益が発生する。素人目には「随分羨ましい取引だ……」とつい思ってしまうが、これは卓越したリペイントの技術がもたらす利益だということを考慮しなければならない。

技術で付加価値を作り出す行為

 一口に「転売」といっても、それは必ずしも悪いことではない。たとえば故障した中古車を購入してそれを修理し、他の顧客に転売するのは正当な商行為だ。  「あいつは商品を転売した!」と中古車ディーラーを非難する者はいないだろう。フィギュアのリペイントも、著作権に触れない程度であれば「技術の対価を受け取る行い」である。単に商品を買い占めて相場の高騰を狙う「転売ヤー」とは分けて考えるべきだ。実際に素晴らしい完成度のフィギュアも存在する。賛否両論あるだろうが、筆者は映画のシーンを見事に再現したリペイント技術に対して脱帽せざるを得ない。  が、懸念点もないわけではない。それ相応の技術のある人物がリペイントを施しているのならいいが、そうでない人物が稚拙な出来の商品を高額出品している可能性もある。品質の差を画像だけで見分けるのは、やはり簡単ではないだろう。<取材・文/澤田真一>
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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