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無敗の3冠馬デアリングタクトはJCで通用するか? 3歳牝馬路線を振り返る

内側は苦しい馬場だった秋華賞で覚えておくべき馬は

1着デアリングタクト 2着マジックキャッスル 3着ソフトフルート  秋華賞の時には稍重に回復したが、レース当日の朝は重馬場発表からのスタートで、重に近い稍重馬場であった。ハイペースにもなり、1~4着馬は、道中で10番手以下にいた差し、追い込み馬でもあった。馬場も内側が掘れて、伸びにくい状況だったので、一番厳しい形だった内の先行馬は、覚えておくといいだろう。例えば、逃げて7着に敗れたマルターズディオサなどは、今後の巻き返しが期待できそうだ。  デアリングタクトは、少しイレ込みが目立ち、パドックも馬番順から外れ、最後尾を歩いていた。ただオークスの時も同様の周回をしていたので、今後もパドックで最後尾を歩いていても、評価を下げる必要はなさそうだ。

JC出走予定デアリングタクトの不安要素は?

 3冠レースを振り返ってみると、デアリングタクトの対応力の高さが光った。パワー勝負の桜花賞、2400mの距離克服と、馬群を割ってくる勝負根性を見せたオークス、小回りをこなした秋華賞。3冠を達成する難しさは、異なる距離やコースに対応する力が必要とされるからだ。デアリングタクトはあらゆる状況の変化を難なくこなしてきた。このことからも、今後もどんな距離や馬場やコースでも、安定して力を発揮できそうだ。  不安要素を挙げるとすれば、テンションと世代レベルだろう。オークスや秋華賞では、パドックで最後尾を歩くほど、陣営もテンションに気を遣っていたことがうかがえる。3冠を達成できた背景としては、デアリングタクトにとっては無観客競馬の恩恵もあったのかもしれない。今後、入場者数が増えて、歓声等が沸きあがった時にどうなるか、が最大のポイントになりそうだ。  レースを使うごとにテンションが上がっていってしまう馬もいるので、限られた入場者数の現在でも、不安要素は全てかき消すことはできなさそうだ。もうひとつの不安要素は、今年の3歳世代が弱いのかもしれない、ということだ。エリザベス女王杯では1~3着が全て4歳以上の古馬が独占し、3歳馬は跳ね返されてしまった。  デアリングタクトは確かに3冠レースを全て制したが、オークスのタイム等から見ても、過去の勝ち馬と比較して、数字的に強いという裏付けはとれていない。もちろんデアリングタクトだけが、世代で力が抜けているからこそ3冠を達成しているのも事実なので、この不安と期待がどうなるか、というのが次走予定のジャパンカップでの楽しみにつながっている。
元「競馬エイト」トラックマン(栗東担当)。学生時代には中央、地方を全場渡り歩き、フランス、香港、ドバイまで駆け回っていた、根っからの現地観戦好き。『競馬伝道師』として週刊大衆やモンドTV「競馬バトルロイヤル」などでも活躍している。
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