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世界一うるさい「爆音コンビニ」。誕生の裏には深い背景が

“他人任せのコミュニケーション”を超えて

 聴覚障害のある人々は、日頃からこうした困りごとに直面している。聴覚障害があり、役者として活動する中村ひとみさんは、店員役で参加した。家族で唯一、聴こえなかった中村さんは、食卓で飛び交う会話を捕らえきれず、家族の外出に寝坊して怒られた経験がある。 「母は『お姉ちゃんが伝えてると思った』と言い、私も『確認していれば良かった』と思いました。他人任せのコミュニケーションではなく、聴こえる人も聴こえない人も自分から動いてコミュニケーションすることが大切」と感じていると言う。

マスクを着けている店員さんが怖かった…

 僕は爆音コンビニを体験し、声を使えない自分に表現できることの少なさに、唖然とした。できるのは、指を差す、数字やマルとバツを示すぐらいのものだ。僕たちは日頃から、聴覚に大きく頼ってコミュニケーションをしていることに気づかされる。  Silent Voice代表の尾中友哉さんは、「コロナ禍におけるコミュニケーションの課題は、聴こえない人だけのものではないんですね。聴こえない人は、日常のなかでこうした小さなあきらめが積み重なっていることを知ってもらい、新たな対話のきっかけになれば」と語った。

Silent Voice代表の尾中友哉さん(右)

 爆音コンビニの帰り道、筆者はいつものコンビニに寄った。店員さんの表情は暗く、こちらの顔を見ていない。普段はモゴモゴと喋ってしまう僕だが、ちょっと声を張って「袋いりません!」と伝えてみた。“他人任せのコミュニケーション”を超えて、一歩前に出て人と接していきたいと思わせてくれた「爆音コンビニ」、ありがとう。 取材・文/遠藤光太(@kotart90
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