更新日:2021年02月01日 09:33
ライフ

「カレー屋」と呼ばれる無印良品が、マニアックすぎるカレーにも挑むワケ

現地で得た知見を取り入れて商品開発

スパイス

実際に現地に赴き、日本では馴染みの薄いカレーの研究も重ねている

 カレーの新商品を開発するうえで特にこだわっているのが「現地の味を再現すること」。スパイスの入れ方ひとつとっても、現地でのリサーチが生きている。 「使うスパイスの種類や調合の仕方も大事ですが、どのタイミングでスパイスを入れるのかも、味や香りを大きく左右します。最初に入れて香りを立たせるのか。それとも後に入れて香りを立たせるのか。ひと口にスパイスといっても、役割がぜんぜん違うんですよ。それに珍しいスパイスを使うときは、実際に現地に行ってみないとわかりません」

狭き門をくぐり抜けて年10種程度が商品化

 現地で新しいカレーを発見しても、すべてを商品化できるわけではない。そこにはレトルトカレーならではの難しさもある。 「素材の中にはレトルトカレーで使うには高価なものもありますし、手に入りにくいものもあります。価格や入手の問題をクリアできても、レトルトに向いていない食材もあって。たとえば、ナスのように煮込むと溶けやすいものは具材感として残すのが難しい。また、エビは水分が出てしまうので、大ぶりのものを使っても小さくなってしまいます」
バターチキン

定番のバターチキンも「カスリメティ」というこだわりのスパイスが使われている

 多いときには数十種類のカレーをまとめて試食することもあるという日向さん。「野球の千本ノックみたい」と笑うが、そこから試作品が作られるのは3割程度。狭き門をくぐり抜けた年10種類程度(リニューアルを含む)のカレーが、無印良品のラインナップに追加されている。
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「マニアックすぎないかな……」という担当者の心配も杞憂に
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