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1月の電気料金が10倍に!? 新電力会社と契約で驚きの請求書

電力卸市場が爆騰! 新電力の倒産が相次ぐ!?

ブラックアウト

日本卸電力取引所のスポット価格は10円/kWhで推移していたが、昨年12月から高騰し、1月半ばには250円に達した

 だが、今回の危機は、約700社にまで増えた新電力会社に思わぬ余波をもたらしている。日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格が12月半ばから異常に高騰し、ここから販売する電力を調達する新電力の経営が危ぶまれているのだ。  1月26日には、楽天でんきが新規申し込みを停止するなど、多くの新電力が悲鳴を上げている。ある新電力幹部は、窮状をこう明かした。 「当社の電力価格は1時間当たり約30円/1kWhですが、市場からの調達価格はピーク時に268円にも達し、最近は172円。1kWh販売するごとに約140円の赤字が積み上がる計算で、乗り切るため4000万円を緊急増資します。だが、調達した電力の代金を2か月後に払えなければ免許停止を食らい、倒産するかもしれない」  一方、新電力の電気料金も高騰は免れない。前出の山本氏が言う。 「新電力の顧客のうち約80万世帯は取引所の電力価格と電気料金が連動する『市場連動型』契約を結んでおり、1月の電気料金は10倍ほどに値上がりしてしまう」

12月から10倍の3万3000円に…

 山田稔さん(仮名・31歳)も、1月の電気料金を見て青くなった一人だ。12月の3415円から、10倍の3万3000円に跳ね上がっていたのだ。
ブラックアウト

新電力と「市場連動型」プランで契約していた山田さんの電気料金。普段は3000円程度だったが、10倍超の約3万3000円に跳ね上がっている……

「新電力は安いし、キャッシュバックもあるので、毎年のように乗り換えていました。でも、1月7日に『電力取引価格高騰に関する重要なお知らせ』という恐ろしげなメールが届き、その後も続々来るように……。  でも、料金が上がっても、せいぜい倍の6000円程度だろうと放っておいたんです。すると1月半ばに、お客様番号、契約名義、供給地点番号など、電力会社の乗り換えに必要な情報がメールで送られてきた。『めっちゃ高くなるから、ウチの会社はやめておけ』と言っているようなもので、これはヤバい!と料金を確認したら時すでに遅しでした……」  幸いなことに、山田さんが契約していた新電力会社は、市場高騰による電気料金の値上がり分を自腹を切って顧客に補塡する特別措置をとった。だが、あくまでも高額な料金を請求する会社も少なくないようだ。
ブラックアウト

ある新電力は、顧客への高騰分の補塡はせず「分割払い」を求めるメールを送ってきた

 SNSには、山田さんのような“被害者”の阿鼻叫喚が溢れるが、新聞やテレビの報道が極めて少なく、新電力利用者のなかには現在進行形の危機をいまだに知らない人も多いという。  一方、新電力会社は、市場高騰期間の電力調達費用の差分を還元するよう、経産省に要請しているが、「市場価格が安いときに儲けていたのに、高騰したら補塡しろでは、国民の理解は得られない」といった反発は根強い。ブラックアウトの危機とともに、新電力にも荒波が押し寄せている……。
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大停電に備える思考法とは?
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