仕事

管理職は9割いなくなる。本当に必要な“プロ管理職”とは

―[生き残る会社員]―
新型コロナ発生から1年が過ぎ、関連する経営破綻は帝国データバンクの調査で1392件(4月28日時点)、解雇・雇い止めされた人の数は厚労省によると10万人に上る。その波は正社員にも及び、東京商工リサーチの調査によれば、’20年に早期退職希望を募った企業は93社と前年比で2.6倍に増加。コロナを旗印に強行される組織改革の中、私たちはどうすれば生き残れるのか? 佐々木常夫氏に話を聞いた。

ジョブ型雇用でも生き残る1割の“プロ管理職”を目指す

佐々木常夫氏

佐々木常夫氏

 私は、管理職の9割はいなくなると考えています。  新型労働市場で消え去る運命にある9割の管理職を一言で言えば、ただ「承認して、報告して、挨拶するだけ」の中間管理職。部下に資料を作らせ、報告させ、それをただチェックして承認し、上司に報告するだけ。  それが必要な資料かも判断せず、ただ時間を穴埋めするために仕事をつくって、気に入らなければ部下に作り直させる。どこの会社にも何人かはいますよね。デジタル化が進む時代、そんな管理職なんかいくらでもすっ飛ばして情報伝達・共有ができますから、淘汰されて当然です。  しかし、逆に言えば1割の管理職は残り続けるということです。では、この生き残る1割の管理職になる条件とは何か。それは非常にシンプルです。  部下のやる気を出させ、エンゲージメント(個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献し合う関係)を高めることができるか否かです。

部下が成果を上げることが自分の評価に直結

 自分の生き残りに頭を悩ますのではなく、本気で部下の成長を考えに考えて話を聞き、ときに鼓舞し、ときにアドバイスを送り、ときに邪魔をせず見守り、部下の考えを明確にする手助けをする。いわばコーチに徹して部下の成長を支援することです。  部下が成長し組織として成果を上げることこそが自分の評価に直結するんですから、築いてきた全人格をもって部下に接して、組織のパフォーマンスを高める。プレーイングマネジャーとして自分の仕事も抱えながら部下を管理している人も多いでしょうが、会社側が最も管理職を評価する仕事とは、そこに尽きます。  こうして部下を管理する立場に徹したうえで、新たなビジネスモデルを模索し続ける。ここまでできれば120点でしょう。  そんな人材はジョブ型雇用となった企業でも「プロ管理職」として必ず重宝されます。今から生き残るための専門スキルを身につけようともがくことも生存戦略の一手ですが、いち早くプロ管理職に舵を切る手法が一番手っ取り早い道なのです。 【佐々木常夫氏】 東レの管理職として数々の事業を成功に導いたのち、同社取締役に就任。近著に『9割の中間管理職はもういらない』(宝島社新書) <取材・文/週刊SPA!編集部>
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