仕事

管理職がいない会社。社員200人の給与は社員同士の評価で決まる

―[生き残る会社員]―
コロナを旗印に強行される組織改革で、サラリーマンの社内サバイバルは激化している。管理職ですら進退が危うい中で、すでに管理職がいない企業も出てきている。ネットプロテクションズの執行役員・秋山 瞬氏に話を聞いた。

給与や昇格は社員同士で評価。管理職がいない会社

秋山 瞬氏

ネットプロテクションズ執行役員・秋山 瞬氏

 通販向け決済「NP後払い」などを運営するネットプロテクションズは、’18年に導入した人事評価制度で管理職を撤廃。社員の役割をフラット化し、各社員の給与は社員同士が評価し合って決めているという。  同社執行役員の秋山瞬氏は、管理職を撤廃した理由をこう語る。 「社員数は約200人ですが、若い社員が多く、管理職に負担が偏りやすい状況がありました。そのため『管理職がメンバーの業務を適切に評価できていない』、『そもそも管理職の任用基準が不透明だ』といった不満もしばしば。こうした問題を是正したかったんです」
生き残る会社員

同社のオフィス。新制度の根底には、競争意識を極力排除し、社員の心理的安定性を高め、成長支援を促進させる目的があるという

 とはいえ、管理職を撤廃したことで反発や業務に支障は起きなかったのか? 「導入以前から役職手当はなく『肩書はあくまでも役割』としていたので、管理職を撤廃したからといって給与が下がった社員はいません。正確には管理職撤廃ではなく、管理職が担っていた役割を各社員に分散させただけ。職務上での混乱も起きていません」

他社員の給与を“見える化”して相互評価

 管理職を撤廃すると同時に全社員の給与レンジを開示。ブラックボックスになりがちな他社員の給与を“見える化”して相互評価の円滑化を図った。  社員は業務関連度により5~15人のグループに振り分けられ、社員同士で毎月面談を行うというルールも設けられた。 「現場の社員からすると指導役だった管理職がいなくなるわけですから、あらゆる社員と月に一度面談することで成長支援に繋がるアドバイスやフィードバックを行える場になればと考えています」
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【図解】管理職がいない組織図
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