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『M-1』4位の錦鯉、売れなくとも芸人を辞めなかった意外なワケ

1年でネタを60本。それを5年は続けた

錦鯉――そういった気持ちが切り変わったきっかけとは? 長谷川:9年前、隆に声をかけてもらった錦鯉結成のときですね。前のコンビを解散してすぐ、ちょうど41歳になる年に声をかけられたんですよ。ちょっと面白そうだなと、軽い気持ちで組んだつもりだったけど、ネタ作りもライブも、やってて抜群に楽しかった。 渡辺:自分たちでも面白いネタが作れてるなぁという感覚はあったよね。それで、組んだばっかりだったし、とにかくネタを量産してみようって言って新ネタライブを精力的に始めた。1年で60本。それを5年は続けてたかな。 ――40歳を超えた芸人の作るネタの量じゃないですね。 渡辺:よくわかんないネタとかありましたけどね。雅紀さんが木の上に住んでるっていう設定で、ひたすら僕が「おーい! 下りてこーい!」って叫ぶだけのやつとか。 長谷川:そこからまったく話が広がらなかった(笑)。 渡辺:まあ、そうやって地道にネタを作ってたら、お客さん投票で順位を決めるライブとかで1位になり始め、ベテラン含めて周りの芸人からも面白いと言われだした。それから結成3年目のM-1で準々決勝、4年目に準決勝までいけて。僕はそこでさらにスイッチが入ったという気はしています。

自分で勝手に年齢のせいにしていた

――そういう積み重ねでギアが入り、昨年の決勝進出という結果になった。 長谷川:そうですね。ただ、その半面、僕のなかでは「どうせ僕らのような中年は、いくらウケても決勝にいかせてもらえないだろう」という思いもあった。中年のベテランより、伸びしろのある若手をスターにする方針があるんじゃないかと。今思えば、自分で勝手に年齢のせいにしていたんですよ。だけど、昨年の決勝進出で、「年齢や芸歴って関係ないんだ。これガチなんだ」と思い知りました。 渡辺:年齢の高い芸人だと、準優勝になった「おいでやすこが」だって二人とも42歳だしね。世の中全体がそうなのかもしれないけど、くすぶった中年でも、実力ときっかけがあればきちんと評価してもらえる時代になりつつある気がします。いい時代だなぁ、と。 ――最後にお二人の今後の目標は? 長谷川:僕らが深夜に見てた『夢で逢えたら』とか『とぶくすり』とか、ああいうユニットコントの番組がやりたいですね。そういったコント番組を、まだ世に出ていない40代の中年芸人を集めてやるのも面白そう。 渡辺:それを早朝でやるとかね(笑)。若者がギリ寝るくらいの4時30分からとか。でも、僕は「漫才もおろそかにしてはいけない」という思いが強いかな。ほんとに。やらないとやらないんだよ、僕ら(笑)。やらないでここまできたんで。売れなかったのはやらなかっただけですからね! きちんと漫才していきますよ。 ●「錦鯉の人生五十年」 錦鯉お笑いラジオアプリGERAで配信中の冠番組。毎週月曜日20時放送。舞台とはまた異なった、錦鯉の素顔が垣間見られる
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錦鯉が推薦!次に来る中年芸人3選
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