第一線で活躍する電通の現役アートディレクターたちが本気で考えた!『美しすぎるパワポ』が発売
「あぁ、早く帰りたい……」。
読みづらい文章、ダサいデザイン、過ぎていく時間。パワポによる資料作成で頭を抱えている会社員の悩みは尽きない。資料を整えるだけなのに、なぜこんなにも手間がかかるのか。
そんな悩める会社員に応えるために一冊の本が発売された。その名も『美しすぎるパワポ』。広告界の第一線で活躍する電通のアートディレクターたちが作成したパワポのテンプレートをダウンロードするだけで「見やすく、伝わる資料」が出来てしまう優れモノだ。
デザイン知識もセンスも不要。ガイドに沿って文字や画像を入れるだけで美しいパワポ資料を作成できる、この画期的な本の制作指揮を執ったコピーライターでありUXリサーチャーの川崎紗奈氏に話を聞いた。
──パワポ本というと教習本のように「解説が多くてとっつきにくい」イメージですが、この本は難しいテクニック解説はほぼないですね。
川崎 一般的なパワポ本はスライドがサブで「いかに多様なテクニックを駆使してパワポを作るか」の説明がメインなんです。一方でこの本は「すでにデザインされているスライドをどう使えばいいか」がメインなので難しい解説は極力省いてます。テクニックを学んだり覚えたりするのも”残業”になってしまうので。
実際、本書のアドバイスを見ながらダウンロードしたテンプレに入力していくだけなので、テクニックを覚えたりする必要もありません。
サンプルのテンプレを大きく見せるためとデスクに置きやすくするために、本のカタチを横長にしているのも特徴です。
――パワポの”ハウツー”本ではない?
川崎 そうですね。デザイン系のハウツー本はわかりやすく書いてあっても、デザインセンスを磨くというのは実際のところ難しい。途中で諦めて読まなくなるパターンが多いと思うんです。
だからこの本はデザインの勉強もテクニックも要らない本にしたんです。「美しくて伝わるデザイン」を作れるプロのアートディレクターがレイアウトや文字・色をすべて事前に設定したパワポのテンプレが10テーマ分用意されています。
――技術を習得する時間も省けるわけですね。この本を執筆されるきっかけはなんだったんですか。
川崎 社内で書籍を出版するためのコンペが開催されていたんです。ただ、アイデアが浮かばなかったので、ほぼ諦めていたんですね。
そんな折、会社で資料作りにすごく苦労して、気づけば22時になっていました。一生懸命作っているのに汚い自分のパワポを見て、「これ、プロがキレイにデザインしてくれればいいのに」って考えた時に「これ、企画になるかも」と思いついて……。実はその日がちょうど書籍コンペの締切日。急いで企画書を提出したんです。自分が本当に欲しい書籍の企画なら通るかも、と。
――自身の資料作成での苦い経験が活きたわけですね。
川崎 パワポのスライドをキレイにするための残業を10年ぐらいして苦しんだ圧倒的な当事者意識があります(笑)。そこが大事だと思っていて。
美しいものと使いやすいものって、結構違うと思うんです。ただ美しいだけでは、「会社員の資料作成の悩み」は解決できないなって。
美しくて、なおかつ資料作りに関する実際の悩みがすぐに解消される。そこを意識しながら、実用性にこだわった10のテンプレを作りました。
――具体的に”ダメなパワポ”とはどういうものなんでしょう。
川崎 私もやりがちなのですが、一番は“文字量が多すぎる”ものです。たまに「小説ですか?」と問いたくなるくらい、バーっと書いてあるパワポがありますよね。でもパワポって原稿ではないんです。聞いている側が覚えられるのは一行だと考えておいた方がいい。
自分の伝えたいアイデアの要点をしっかり押さえてストーリーテーリングのように語る。そのためには1枚のスライドだけではなく、緩急をつけた全体の“流れ”も大事になってきます。例えば情報量が多くなってしまったスライドの後には、1行だけの“キーフレーズ”を入れたスライドを挟むとか。そうすることで伝えたいことがより印象的になります。
――文字量が多いパワポを作ってしまう人でもこのテンプレを使えば改善されるのでしょうか。
川崎 テンプレ通りにやると自然と文字数が少なくなるようにはなっています。でも、「どうしても文字数を省けない!」という人のために「文字数が多くても綺麗に見えるテンプレ」も用意してるんですよ(笑)。
――確かにそのテンプレは「同じ文字数なのにデザインだけでこうも変わるのか」という衝撃を受けました。
川崎 この本は普段、広告業界やデザイン業界の中に閉じこもっているアートディレクターの技量と知識を、いかにみんなに届けるかもテーマになっています。
そしてその技術と知識によって半日も使ってパワポの体裁を整えていた時間を無くして、“自分がやりたいこと”に時間を使えるようになればいいなと思っています。これまでデザインに苦手意識が有ったり、興味をもてなかった人にこそ手に取ってほしいですね。
<取材・文/南ハトバ>
パワポの知識もデザインの勉強も必要ない
会社員の悩みをプロのデザインで解決
文字数が多くても整った印象になるテンプレも
『電通アートディレクターが本気で考えた!美しすぎるパワポ』 資料を作るすべてのビジネスマンに捧げる。センス、テク、時間、不要。「ダウンロードするだけ」のパワポ本、爆誕! |
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