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「僕は親を捨てました」30代男性が告白。カネの無心に追い詰められて

親子共倒れになる前に……CASE 1 木下義之さん(仮名・34歳)

ルポ[親を捨てた人]

木下義之さん(仮名・34歳)

「たとえ薄情と言われようと、僕にも僕の生活があるんです……」  木下義之さん(仮名・34歳)は語気を荒らげた。3年前、64歳になる父親を捨てた当事者である。 「小学生の頃に両親が離婚。不動産業を営む父とは別々に暮らしていましたが、たまに会えば遠出をしたり、ゲーム機やお小遣いをくれて離れていたけど大好きでした。父も昔は羽振りが良かった記憶があります」  義之さんは女手一人で育ててくれた母には無理をさせたくないと、勉学に励み、奨学金を得て公立大学に進学。’08年には地方信用金庫に就職した。

終わらない父のカネの無心。親子の絆が子を追い詰める

「父親との関係が変化したのは社会人になってすぐ、リーマンショックの影響で父の会社が倒産したんです。その後も父は定職に就かず、アルコールに溺れ、僕にカネを無心してくるようになりました。  最初は『携帯代が足りない。1万円を貸してくれ』と言ってきたのですが、すぐに金額も頻度もエスカレートしていきました」  義之さんの当時の手取りは月20万円台前半。月2回、計10万円も父に振り込んだ時期もあった。 「父はずっと独り身で、『迷惑かけて申し訳ない……』と電話口で泣く姿がかわいそうで……。私も消費者金融に借りてまで父に渡していた時期もあり、借入額が利子含めて200万円に膨れ上がりました。それに加え奨学金も300万円近くになっていました」
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「僕は父を捨てました」
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表紙の人/ 吉岡里帆

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