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サッカー日本代表、大迫勇也の“テンポライズ”に注目。日本の攻撃を活性化させる

大迫らしいワンプレー

「テンポライズする」といっても、ただ単にドリブルのスピードを落としただけでは相手に簡単につつかれてしまう。スピードを落とし、相手の動きをよく観察しつつもいつでもボールを逃がせる位置に置き、スルーパスを出すベストなタイミングから逆算してわざと食い付かせ、ボールを逃がす。一連のプレーが、すべて大迫の手のひらの上で行われた。ものの数秒間ではあったが、駆け引きの巧さが詰まった、実に大迫らしいワンプレーだった。  大迫はテンポライズの名人だ。特に今回のような、ボールを保持しながら味方のフリーランニングを引き出すプレーは彼の真骨頂と言っていい。ポジション柄、最前線で相手を背負った状態でタメを作るシーンが多いが、今回のように前を向いた状態でも同様に効果的なタメを作ることができる。  ワールドカップ本大会やその前のアジア最終予選を想定した際に、フィジカルや個の力で押し切るのが難しい日本にとって、前線で潤滑油となって化学反応を誘発できる選手は貴重だ。本大会までの1年余りの間に同様の役割をこなせる選手が台頭しない限り、ワントップのファーストチョイスは大迫となるのが濃厚だろう。  今夜の対戦相手は格下のモンゴル代表。現実的に考えて、日本が長い時間ボールを持つことになるはずだ。スタメンを入れ替えてくる可能性も高いが、前線に大迫が入った際にはどのように攻撃のテンポを変化させるのか。連携の中で見せる巧みな時間の使い方にも、ぜひ注目していただきたい。 取材・文/福田悠 撮影/藤田真郷
フリーライターとして雑誌、Webメディアに寄稿。サッカー、フットサル、芸能を中心に執筆する傍ら、MC業もこなす。2020年からABEMA Fリーグ中継(フットサル)の実況も務め、毎シーズン50試合以上を担当。2022年からはJ3·SC相模原のスタジアムMCも務めている。自身もフットサルの現役競技者で、東京都フットサルリーグ1部DREAM futsal parkでゴレイロとしてプレー(@yu_fukuda1129
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