仕事

60歳以上の会社員100人に聞いた「働き続ける理由」。年金だけでは暮らしていけない

4月1日から施行された「70歳就業法」こと、「改正高年齢者雇用安定法」。この改正により、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務とされ、事実上「定年=70歳」時代が到来した。表向きは少子化による労働人口減少を防ぐべく、高齢者雇用で労働力を確保するということだが、専門家はどう見るのか? 話を聞いた。

定年後を見据え考えるべき資産・人間関係・仕事のこと

老後も働く

イラスト/bambeam

 シニア人材雇用に詳しいクオリティ・オブ・ライフ代表の原正紀氏はこう分析する。 「高齢化社会による財源不足で、年金、医療保険、介護保険という社会インフラに頼った老後生活が揺らぎつつあります。今後、年金支給年齢が上がり、支給額が下がるなどの変化が起こる可能性も少なくない。  今回の法改正には、現役世代の年金負担の軽減と財源確保に加え、少しでも高齢者の老後破産を防ぐため、『70歳まで働き続けて、年金で足りない分は自分でカバーしてほしい』という意図もあるのではないでしょうか」

今から老後資金の目安を知るべき

 今後、中年世代を待ち受ける、不確実な未来。でも、だからこそ、「先がわからないから、今から老後資金の目安を知るべき」と語るのが、定年後、経済コラムニストとなった大江英樹氏だ。 「最近は老後資金の準備に向けて、『W.P.P.』という老後資金に関する優先順位を表した概念が話題です。それぞれ『W:Work longer(できる限り長く働く)』『P:Public Pension(公的年金)』『P:Private Pension(私的年金)』を意味していますが、老後資金を蓄える上で最優先は、働いて手堅く所得を得ること。仮に公的年金だけで老後の生活費すべてを賄えずとも、働き続ければリスクヘッジになりますから」  これは現役時代と同水準で稼ぎ続けろというわけではない。 「受給額が多少減ったとしても、公的年金が0円になることはありません。受け取る年金の目安は『ねんきん定期便』や『ねんきんネット』で確認を。また、退職金や企業年金は人事部などに聞けば教えてもらえます。公的年金、退職金、企業年金を合算し、足りない分は個人資産や働いて稼ぐという考え方が理想的です」(大江氏)
老後も働く

老後は、ベースの生活費は公的年金から。医療費・介護費は退職金や企業年金。不足分を個人資産で補うのが理想的

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シニア世代が働き続ける理由で最も多いのは「生活費」
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