仕事

68歳で経営者から、日給9000円の交通誘導員になった覚悟

4月1日より「改正高年齢者雇用安定法」が施行され、より高齢者が労働に駆り出される時代が到来した。現在、実際に働く高齢労働者たちは何を感じ、現役世代は何を準備すればいいのか? 70代にしてバリバリ現役で働き続ける男性に取材した。

2500万円の税金滞納で68歳で誘導員に転職

老後も働く

写真はイメージです

『ユダヤ人大富豪の教え』をはじめ、多数のベストセラーを手がけるヒットメーカーから、68歳で交通誘導員に転身したのが編集プロダクション経営者だった柏耕一氏。転身の理由は、2500万円の税金滞納だったという。 「出版不況で本が売れないなか、法人税や所得税の滞納が重なって、68歳のときに税務署に口座を差し押さえられたんです。生活費や税金返済分を稼がねばと仕事を探して、なんとか見つけたのが未経験でも働ける交通誘導員。日給は9000円。月収は手取りでだいたい17万~18万円でしたね」

好奇心を持てたから続けられた

 真夏も真冬も屋外で立ち続ける誘導員は、シニアにはキツい。ときには終電後に作業が終わり、ビルの隙間で始発を待ったことも。 「体力的な負担の上、年下の上司から怒鳴られることも日常茶飯事。ただ、『自分はこの世界では新参者なんだから、受け入れるしかない』と覚悟は決めていました。  よく思い出していたのは、『いい人と歩けば祭り、悪い人と歩けば修行』という長岡瞽女の小林ハルさんの言葉です。仕事で理不尽な目に遭うのは当たり前。修行だと思えば耐えられる。  あと、どこかで『この仕事はおもしろい』と思うことが大切で『こんな不思議な世界もあるのか』と好奇心を持てたから、続けられたんでしょうね」
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著書『交通誘導員ヨレヨレ日記』は7万部のベストセラーに
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