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新築マンション“今は買い損”の理由。不動産のプロに聞いた「要注意物件」と「狙い目の物件」

 あらゆるものが値上げラッシュで市井の人々の悲鳴がこだまする一方で、価格はそのままにこっそり内容量を減らすステルス値上げも加速中だ。業界の内情を知る人々に直撃し、“上げ底弁当”もびっくりの話を聞いた。
[ステルス値上げ]の内幕

不動産コンサルタント・澤井慎二氏

新築マンションはステルス値上げで“買い損”!?

 価格高騰が止まらない新築マンション。そんな住宅にもステルス値上げが存在する。 「デベロッパーからしたら“工夫”ですが、ユーザー目線で見たらステルス値上げでしかない」と話すのは、不動産コンサルタントの澤井慎二氏だ。 「新築マンションは昔よりも小さくなっている物件が多いんです。例えば一昔前は3LDKなら70㎡はありましたが、今は60㎡台も珍しくない。さらにマンションの階数を増やすために天井高を下げたりするので、その影響もあって窓枠のサッシが小さくなり、眺望が悪くなってしまうんです」  都心部に比べて価格が低く、お得感を打ち出す郊外物件が特に注意が必要だという。 「価格とコストの採算を合わせるためにトイレや洗面化粧台、キッチンなど水回り設備のグレードが下がっています。それらは見た目でわかりやすいのですが、ドアの種類やフロアシートに壁紙、浴室のライトなど素人ではわかりづらい部分もコストカットして、価格以上に仕様が落とされている物件もあるんですよ」

狙い目物件は“リーマン・ショック”前後の物件

 そんなステルス値上げの背景には、建築資材や人材費の高騰、さらには不動産業界の生き残り競争の影響が大きい。 「’13年のアベノミクス以降、新築マンションの価格は上がり続けていますが、それでも企業の利幅は少なくなっているのが現状です。新築マンションのプロジェクトは3年先まで決まっていて、そのなかで営業には販売ノルマが求められるわけです。これ以上、面積を狭めることができなければ、物件の中身をイジってステルス値上げせざるを得ないんです」  ステルス値上げの物件を摑まされないための見極めポイントはあるのだろうか。 「アベノミクス以降の新築マンションは原価の高騰で仕入れが難しくなり始めて、グレードを下げているステルス値上げ物件が多い。それならば、リーマン・ショック前後の円高のタイミングで仕入れた資材で、’10年から’15年あたりに建築された中古マンションのほうが品質は高いですよ」  大きな買い物だからこそ、確かな目利きで判断したい。 【不動産コンサルタント・澤井慎二氏】 ライトドア代表。不動産業界に特化したSNSマーケティングを行う。YouTubeチャンネル「東京不動産マニア」では進行役を務める 取材・文/週刊SPA!編集部
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