更新日:2021年05月06日 16:30
仕事

「テレワーク実施率」全国ワーストの和歌山で、サテライトオフィス活況の理由

2001年から企業誘致をスタート

白浜町

温泉や海水浴場、ゴルフ場、レジャー施設が点在し、古くから観光が主要産業だった白浜町

――それでは本題に入ります。まず白浜町がサテライトオフィス誘致に動くきっかけは何だったのでしょうか? 大平:和歌山県は高校卒業後の県外進学率が長年、ワースト1位でした。県外に出た方は大学卒業後もそのまま都市部で就職する傾向が強く、地元に戻っても就職先が限られています。そのようななか、都市部と同じ仕事が地方でもできる情報通信関連企業に着目し、IT企業の誘致を進めました。 ――そこからサテライトオフィス誘致活動を始められたのですね。 大平:はい、そうです。 2001年に和歌山県の施策から企業誘致がスタートし、2004年から町営のレンタルオフィスビル「白浜町第1ITビジネスオフィス」をオープン。当初は企業の撤退もありましたが、2014年からそれまでの反省を生かして企業に定着してもらえるようなサポート体制に重点を置き、企業誘致に取り組みました。  2015年には総務省のふるさとテレワーク事業を活用してセールフォース・ドットコムさまが白浜町にサテライトオフィスを開設。都市部と同じ仕事をしながら生産性が20%以上向上したという実績を残していただきました。  その後も情報通信関連企業を中心に多くの企業がサテライトオフィスを設けています。今後は他業種の企業にも当町でサテライトオフィスを設けたり、本社機能を移転したりするなどしてもらい、白浜発の「白浜モデル」のような新たなイノベーション創出を期待しています。

県と連携して企業をサポート

――和歌山県とはどのような連携をされていますか? 大平:和歌山県には東京事務所を中心に都市部の企業へ営業活動をかけ、サテライトオフィス開設につないでもらっています。そのほかにも白浜町に拠点を開設する際の家賃補助や航空運賃補助などの奨励金、高専や大学と連携した人材確保などで連携を進めているという体制です。 ――以前、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の三友仁志(みとも・ひとし)教授がサテライトオフィス誘致について「箱モノを作ったから誘致できるわけではない。白浜町のように企業のニーズをくみ取り、進出に見合ったメリットを提供する必要がある」と語っています。白浜町では具体的にどのような取り組みをされてきましたか? 大平:企業のニーズは多種多様にわたります。人材確保やローケーション、地域との交流、CSR活動などを企業から聞き取り、企業が白浜町に進出した際にスムーズに地元と関わりを持てるようサポートしています。具体的には、実証実験を行うための地元企業とのマッチングやプログラミング教室を開催するために小学校への依頼、各種ボランティア活動の紹介などです。
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プロレスやエンタメを中心にさまざまなジャンルの記事を執筆。2019年からなんば紅鶴にて「プロレストーキング・ブルース」を開催するほか、ブログnoteなどで情報発信を続ける。著書に『俺達が愛するプロレスラー劇場Vol.1』『俺達が愛するプロレスラー劇場Vol.2』『インディペンデント・ブルース』(Twitterアカウント:@jumpwith44

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