「アントニオ猪木の後継者」を巡る因縁…当事者が対峙した1986年の凄惨マッチ
2022年10月1日に心不全により死去した「燃える闘魂」アントニオ猪木。長きにわたって日本プロレス界のスーパースターとして君臨してきた猪木の後継者は誰なのか? 関係者やファンにとっては大きな関心事として議論の的になってきた。
そんな猪木の後継候補として有力視されてきたレスラーによる因縁渦巻く”不穏マッチ”は今日まで語り継がれている。1986年11月24日、前田日明vs坂口征二の一戦をプロレス考察家のジャスト日本氏が振り返る。(本記事はジャスト日本著『プロレス喧嘩マッチ伝説~あの不穏試合はなぜ生まれたのか?』より抜粋したものです)
アントニオ猪木はかつて著書『猪木寛至自伝』で前田日明を後継者として考えていたと告白している。実はもうひとり、前田を自身の後継者として考えていたのが坂口征二である。
実際、坂口本人のインタビューを読むと、トンパチ(相撲やプロレス用語で目先が見えない人)な前田を愛すべき人物として語っている印象が強い。だが、前田の坂口に対する発言には怒りや憎しみなどの複雑な感情が見える。
坂口はそうでもない、でも前田は憎んでいる。なぜそんな人間関係になったのか。
そもそも前田が当時、新日本で慕っていた山本小鉄、藤原喜明は坂口と微妙な関係にあった。藤原が試合前に若手を関節技のスパーリングで鍛え育てる「藤原教室」を坂口は嫌っていたという。さらに前田といえば、カール・ゴッチの愛弟子だが、坂口はゴッチイズムにも懐疑的で、「ゴッチに感化されるとプロレスを小馬鹿にしてしまうんだ」という考えがあった。
前田が1986年から第一UWFから新日本にUターンしていた頃も、当時現場監督だった坂口とマッチメイクで衝突していた。不穏試合となったアンドレ戦で、アンドレをたきつけた張本人は坂口ではないかと前田は推測している。
そんな2人が1986年11月24日札幌中島体育センター大会で、〝たった一度〟だけシングルマッチで対戦をしたことがある。実はこの日、前田とブルーザー・ブロディの一騎打ちが組まれていたが、ブロディが試合5日前に来日をドタキャン。ブロディの代打に名乗りを上げたのが坂口だった。
複雑に絡み合った猪木、坂口、前田の関係性

ブルーザー・ブロディのドタキャンにより直前に決定
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プロレスやエンタメを中心にさまざまなジャンルの記事を執筆。2019年からなんば紅鶴にて「プロレストーキング・ブルース」を開催するほか、ブログやnoteなどで情報発信を続ける。著書に『俺達が愛するプロレスラー劇場Vol.1』『俺達が愛するプロレスラー劇場Vol.2』『インディペンデント・ブルース』(Twitterアカウント:@jumpwith44)
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『プロレス喧嘩マッチ伝説~あの不穏試合はなぜ生まれたのか?~』 プロレス史に残る65の喧嘩マッチを考察、その衝撃の舞台裏に迫る! ![]() ![]() |
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