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効いてきてしまった改憲派の「嘘」宣伝。改憲派vs護憲派の公開討論を憲法学者の重鎮が提言

改憲派対護憲派の公開論争を

 前述のように「憲法は改正すべきだ」と言う多数派の中の多数が、「国防の規定が不十分だ」と認識しておりながらも、朝日の調査では、全体としては61%の人々が9条の改憲に反対している。その主な理由が憲法が「平和をもたらしたから」である。これは一見して矛盾している。しかし、これも、国民全般が、憲法問題について公平に情報を提供されていないからだと思われる。  憲法論議に参加してきた私がいつももどかしく思うことは、改憲派も護憲派も、それぞれに同好の士だけが集まって議論を重ねながら、反対派の主張を完全に無視している点である。だから議論が深まらず、それぞれに「囲い込まれた」人々が誤導されてしまっている。まるで新興宗教の対立である。  この不幸な膠着状態を破るために、改憲派と護憲派の論客達が一堂に会して公開討論を行うことを提案したい。そうすれば、憲法に関する主権者国民全般の理解が深まり、生産的な議論が成立するはずである。  「櫻井よしこ&伊藤真」といった公開討論会をぜひ観てみたい。 <文/小林節 記事初出/月刊日本2021年6月号より> こばやしせつ●法学博士、弁護士。都立新宿高を経て慶應義塾大学法学部卒。ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。著書に『 【決定版】白熱講義! 憲法改正 』(ワニ文庫)など
げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。
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月刊日本2021年6月号

【特集1】コロナ敗戦 A級戦犯は安倍・菅・加藤だ
【特集2】日本はどこへ
【特別インタビュー】五輪延期を打ち出すか 女帝・小池百合子の深謀遠慮(東京工業大学教授 中島岳志)


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