更新日:2021年07月01日 14:21
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カスハラ客vs.店の壮絶バトル。「悪質な客を排除したら売り上げが増えた」

カスハラ客の弱点を突く撃退法とは?

 カスハラの深刻化を受け、昨年、厚労省は対応マニュアルの策定に乗り出し、同省所管の労働政策研究・研修機構は事例と対策を作成している。 カスハラ より効果的な「カスハラ撃退法」を、多くの現場を知るクレーム対応のプロの援川聡氏に伝授してもらった。 「第1に、対応に時間をかけることです。間違いがあってはならない企業や店を代表して客に対応しなければならない従業員は、絶対的に不利な立場にある。カスハラ客に怒鳴りつけられた従業員はパニックになり、一刻も早く事態を収拾したいでしょう。だが、逃げ腰の対応は、カスハラ客の思うツボ。時間をかけて、個の戦いから組織戦へ導くのです」  有利なカスハラ客に個で対応しては、ますます不利になるばかりだ。援川氏は第2の対処法に「おうむ返し」を提唱する。 「相手が答に窮する状況を彼らは好むので、『誠意を見せろ!』と言われたら『誠意を見せろ、ということですね』と丁寧に繰り返す。こちらが防戦一方でなければ、カスハラ客にとってやりにくい相手になります。暖簾に腕押しの相手に怒鳴り続けるのも疲れるもの。音を上げるのを待ち、持久戦に持ち込むといいでしょう」

シンプルだが、絶大な効果がある対処法

 第3の対処法はシンプルだが、絶大な効果があるという。 「丁寧に相手の名前を確認することです。カスハラ客は名を明かしたがらないので、『しっかりと対応するために、お名前と連絡先を教えてください』とお願いする。個人情報を盾に拒まれても、『大事なことですので』お願いを続ける。要求の実現が困難とわかった時点で、クレームは収束に向かいます」  毅然とした対応を取るにも、押さえるべきツボはあるのだ。 【甲南大学教授・阿部真大氏】 社会学者。専門は労働社会学、家族社会学、社会調査論。著書に『搾取される若者たち バイク便ライダーは見た!』(集英社)など 【クレーム対応コンサルタント・援川 聡氏】 エンゴシステム代表取締役。​元刑事の経験を生かしクレームに対応。「クレーム対応完全マニュアル」をダイヤモンドオンラインで連載中 <取材・文/齊藤武宏 取材・撮影/山本和幸 写真/PIXTA>
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