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土地規制法から考える日本の「仮想敵国」とは?/自衛隊の“敵” 第1回 小笠原理恵

空き家が目立つ陸上自衛隊対馬警備隊の隣接地

 対馬は高齢化が進み、空き家や利用されない土地も多くあります。対馬は観光と漁業以外には目立った産業がなく土地を買ってくれる人がいれば売りたいと考えるのも当然のことです。防衛拠点の重要性を国が認識していなければさらに土地売買は進みます。
自衛隊の“敵”第1回 小笠原理恵

リゾートホテル前から対馬防衛隊本部を見る

 陸上自衛隊対馬警備隊は住宅の近接する場所にあります。基地周辺と住宅の間には細い道路があるだけです。この陸上自衛隊対馬警備隊の隣接地にも空き家が目立ちます。海上自衛隊対馬防衛隊本部の近接地が韓国資本に買収された件を鑑み、早急に土地の買い取り等の対策を打つ必要があるのではないでしょうか?  自衛隊の駐屯地や基地の多くは一般道からフェンス越しに中が見通せます。市街地の中に防衛拠点が混在することも見慣れた風景です。これではテロや軍事攻撃にさらされればひとたまりもありません。防衛拠点周辺の土地売買を監視し、規制する法律は存在しませんでした。自衛隊では如何ともしがたい“敵”でした。

ようやく成立した土地規正法

 2021年6月、通常国会閉会前、ギリギリ滑り込みで「自衛隊基地や原子力発電所の周辺、国境離島などの土地の利用を規制する法(土地規制法)」が参議院で可決し成立しました。  重要施設の周辺1kmと国境の離島等を注視地域として、土地や建物の所有者の氏名・住所、利用実態などを政府が調べることができるようになります。注視地域の土地売買に事前に届け出も義務付けられました。国境離島484か所、防衛関係施設500か所以上が規制対象区域と設定されました。やっと一部の土地取引のチェックが可能となりました。この法律は生ぬるいという声もありますが、ないよりはマシです。  “敵”に対しての戦う武器が一つ、自衛隊にもたらされたことに感謝します。 <文/国防ジャーナリスト・小笠原理恵>
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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