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土地規制法から考える日本の「仮想敵国」とは?/自衛隊の“敵” 第1回 小笠原理恵

―[自衛隊の“敵”]―
自衛隊の“敵”第1回 小笠原理恵

海上自衛隊対馬防衛隊本部

自衛隊は何と戦うのか?

 自衛隊の“敵”と聞いて、皆さんはどんな“敵”を思い浮かべますか?  日本の排他的経済水域に幾度となくミサイルを撃ち込んできた北朝鮮、尖閣諸島や南シナ海を我が物顔でのさばり続ける中国、日本漁船を無慈悲に拿捕するロシアなど、日本の領空、領海に勢力を拡大しようと虎視眈々と目論む国はいくつもあります。ですが、これらの国々が「自衛隊の“敵”」と言えるのでしょうか?  日本は「仮想敵国」を設定していないことになっているので、これらを“敵”とストレートに言い切ることはできません。自衛隊でも長らく「対象国」というよくわからない呼び名を使っていますから。  自衛隊の設立目的は自衛隊法3条の1項に規定されています。それによると、自衛隊は「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」組織であるとのことです。

自衛隊を縛りつける鎖とは?

「国の安全を保つために日本国を防衛する」  これが主たる任務です。憲法9条から根を張った自衛隊の行動を封じ込める制度や法律は何重にも自衛隊を縛り付けます。本物の“敵”と戦う前から、自衛隊は手足を縛られ拘束されているようなものです。  さらに、9条の規定から自衛隊は「軍ではない」と定義されてきました。戦後、自衛隊は国を守る最重要任務を抱えながら、他の行政組織と同じ基準を強いられてきました。軍事組織には秘密保持が重要ですが、自衛隊は透明性を求められ、活動記録である「日報」の開示や武器弾薬の備蓄や輸送日程までを調査されても、市民の知る権利には逆らえない歪な力関係に苦しめられてきました。  尖閣諸島で頻繁に領海侵犯を繰り返す中国は、日本の4倍以上の軍事費を注ぎ込むなど武力拡大にかけるコストには糸目をつけません。対する自衛隊は予算も微増にとどまり、修繕費や燃料、弾薬や消耗品費用にも困窮しています。  これじゃ戦えません。  本物の“敵”と戦う前に立ちふさがる「自衛隊の“敵”」を検証し、縛りつける鎖から自由になってほしい。自衛隊が十分に力を発揮できるようにしたいと願っています。さまざまな“敵”のアレやコレを徹底的に穿り返して、この連載で追求したいと思います。
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「国境の島」・対馬は昔から要衝だった
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