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小田急線刺傷事件の犯人に見る「無敵の人」問題/トイアンナ

「無敵の人」を減らすことが、犯罪抑止策

小田急線

photo/pixta

 ここから先は、類似した犯罪をどう減らすべきか、の話をしよう。今回の犯人は女性を逆恨みした。だが、たとえ女性を不当に恨む人間が生まれたとしても、食べていけるだけの月収と、支援があったらどうだろうか。  その人は私にとって望ましい相手ではないが、少なくとも他人を脅かす「無敵の人」にはならない可能性が高くなる。必要なのは再発防止であり、そのためにも支援が必要だ。 「支援」という言葉は、言うは易し行うは難しであることは、筆者もよくわかっている。そもそも、支援をまともに受ける書類手続きが不可能な知的ボーダーラインの人だったらどうするか? 精神疾患で安定した情緒が持てず、支援者も逃げ出したくなるほどの性格だったら?

支援は「弱者を助ける」のみならず

 これをご覧のうえで、実際に支援をした経験がある人間なら、きれいごとで「弱者を助ける」なんて言えないことがわかるだろう。弱者は誰しも、喜んで支援を受け入れてくれる人ばかりではない。むしろこれまでの差別や罵倒に傷つき、こちらを恨む可能性すらある。しかし、それでも助けねばならないのだ。 「いま苦しむ人のため」などというおためごかしですらない。これは日本の治安の話であり、私にもあなたにも関わることだからである。  今回の犯人と同じように人生へ絶望し、無差別刺傷事件を起こす「無敵の人」を減らすために……。まず私たちができるのは、すでに支援の現場にいる人へ、金銭でも言葉でも人材でも、サポートを届けることだろう。 <文/トイアンナ>
ライター、経営者。主にキャリアや恋愛について執筆。5000人以上の悩み相談を聞き、弱者男性に関しても記事を寄稿。著書に『弱者男性1500万人時代』(扶桑社新書)『ハピネスエンディング株式会社』(小学館)。X:@10anj10

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データで読み解く“弱者男性国家”ニッポンの現在

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