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バイナリーオプションで50万円が3日で消えた。自動売買ソフトの養分になった男

バイナリーオプションという丁半博打

FXデリヘルドライバーm

デリヘルドライバーの竹内さん

 社会に出てから二十数年、コツコツ働いて生きてきた40代の男ならば、誰しも「そろそろ不労所得のステージへ……」のスケベ心が湧いてくるもの。東北地方の老舗デリヘルのドライバーとして実直に8年勤めている竹内実氏(仮名・45歳)は、年収400万円の安定した身分。だが、4年前に魔が差して、為替相場のバイナリーオプション取引に手を出した。 「バイナリー」とは、0と1の「二進法」のこと。その名の通り、ある条件を満たすか満たさないかが投資対象となる。 「FX投資の初心者版ですね。これは、国内の証券会社も扱っているしっかりした投資で、ある一定期間の為替レートが、あるレートより高くなるか低くなるかを予測して取引します。その予測があたった場合に1000円を受け取れる権利(オプション)を、その予測の当たりやすさによって変動する価格(50円〜990円)で買うわけです」  つまり、300円でオプションを買って予測が当たった場合、1000円がもらえるので、儲けは差し引き700円になるといった具合だ。  だが、為替はおろか投資の経験もゼロだった彼が、丁半博打とも揶揄される鉄火場にいきなり乗り込んだのはなぜなのか。

先輩後輩のよしみでバイナリーオプション取引の自動売買ツールを……

「地元のクラブで知り合った後輩が、バイナリーオプション取引の自動売買ツールを開発して販売していたんですよ。俺は仲良しだからとタダでそのアプリを試させてもらえたのがきっかけでした。取引する通貨ペアとツールの稼働時間を設定し、儲けたい金額を入力すると、勝てる確率が表示されるんですよ。もちろん俺には根拠不明の数字なんだけど、それが98%以上だったら、お金を入れてスタートすればいいだけ。為替の知識なんてなくてもできちゃうんです。後輩は『先輩!こんなん余裕で稼げますよ!』と威勢も良くて……」  初日につぎ込んだ20万円はその日のうちに37万円に化け、翌日もプラス8万円の儲けを叩き出した。このまま勝ちが続けばデリヘルの運転手をやめて新事業を始めることを考えるほど、着実に手応えを感じていたという。
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職質は頻発「クスリやってます?」
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