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SNSよりも選挙。ツイッターデモで政治は変わらない 吉田照美×前川喜平×寺脇研

 文部科学省OBの前川喜平、寺脇研らがあるべき官僚制の姿について語った『官僚崩壊 どう立て直すのか』。本書のために収録されたフリーアナウンサー・吉田照美さんとの鼎談のうち、書籍未収録の箇所をWeb限定で公開する。

Twitterデモが阻止した黒川検事長の定年延長

吉田照美 前川喜平 寺脇研

(写真左から)吉田照美、前川喜平、寺脇研

吉田照美(以下、吉田):最近では、Twitterをはじめとする様々なSNSが大きな影響力を持っているように思います。現状、進んでいる施策に多くの人がSNSで反対を表明することで、方向性が覆るケースも出てきました。 前川喜平(以下、前川):検察庁法の問題(※2020年1月、政府はそれまでの法解釈を変更して安倍政権に近いと言われていた黒川弘務・前東京高等検事長の定年延長を決めた。しかし野党や世論の激しい反発を受け、検察庁法の改定を断念)や入管法の問題では、SNSで反対の声が高まったことが、法案成立を阻止することにつながりました。意外な話かもしれませんが、いずれもSNSの中に小泉今日子さんがいたんですよね。 吉田:それは大きかったかもしれませんね。 前川:相当の効果があったと思うんです。私自身、キョンキョンのファンでしたし(笑)。彼女のような情報発信力の強い芸能人の中からも声を出す人が増えてきましよね。 吉田:確かにこのところそういう方が現れているのは間違いないですね。

検察庁法の問題で見えた一筋の光

前川喜平前川:検察庁法の場合には笛美さんという方が最初にハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」を付けてツイートし、またたく間に拡散したんですね。入管法については、やはりウィシュマさんの事件が、どう考えてもひどいじゃないかという世論が起こりました(※名古屋入管に収容されていたスリランカ人の女性、33歳のウィシュマ・サンダマリさんは、体調悪化を訴えていたが治療を受けられないまま2021年3月6日に死亡した)。  いくらオーバーステイをしていたからとはいえ、治療らしい治療をしないとはひどいことだと誰もが思いました。あのケースは業務上過失致死です。未必の故意による殺人だと言ってもいいくらいです。この事件は、刑事事件として立件すべきだと思っています。このような理不尽なことがさらに広がりかねない法律であれば、そんなものは作るべきではないでしょう。  私が日本国民を見直したのは、今回の入管法の問題は外国人の問題ですが、外国人の問題でも人道・人権に反するという感覚を持っている。そういう日本国民がたくさん現れたということは非常に心強いと思っています。そのあたりにこれからの日本の希望の光が見えるような気はします。
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官僚崩壊 どう立て直すのか

日本再生の鍵は「官僚=国家の安全装置」にあった

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