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実母が自殺、借金、離婚——修羅場の達人・末井昭に聞く、コロナ禍の過ごし方

「コロナ禍が何十年も続くかも」と考えることも?

――気になるアフターコロナはいつやってくると思いますか? 末井:それはわからないです。ただ、みんな「アフター」をやたらと言うけど、もはや「アフター」という考え方自体も幻想のような感じもするんですよ。  新型コロナウイルスの対策に、諸外国よりも日本が遅れを取ったのは、インフルエンザとかと同じで、ピークを過ぎれば収束すると考えていたからでしょう。だけど、第三波、第四波、第五波と、どんどん感染拡大の波が来て今は変異株も増えてきてる。こんなこと日本は想定していなかったわけですよ。  そういう経緯があったからか、東京オリンピックも決行して、結果的に感染者が増えて自宅療養だなんてメチャクチャなことになっていますよね。  こういう国で暮らしているわけですから、「アフターコロナなんて本当にあるのかな」と僕は思ったりもします。医者とか専門家の科学的な見方とは全く違うけど、僕個人的には「この先、何十年も続くかもしれない」と考えることもあります。

家族や恋人、友人との関係を大切にするしかない

 ただ、仮にそうだとしても、この状況をどうやって過ごすかを考えた場合、やはり「隣人を愛せよ」……家族や恋人、少なくていいから本当の友達との関係を大切にするしかないと思っています。  あとは……新型コロナウイルスに慣れるということも大切でしょうね。感染防止対策もそうだし、例えばリモートワークなんかにしても、「慣れる」しかないでしょうね。「リモートワークが苦痛だ」という声もあるみたいだけど、でも職種によっては「与えられた仕事だけやれば、その後は何をやってもいい」なんて働き方も増え始めてるみたいですから。  こういったことをうまく利用して自分と大切な人との時間とか、「映画を観る」「音楽を聴く」「本を読む」とか自分の時間を増やすようにしたら良いと思います。  これまでの日本のやり方、組織のやり方が古すぎたり、全然良くないこともまたコロナ禍で露呈したわけですから、これから先は状況を逆手にとった人との接し方、時間の使い方をするのが良いでしょうね。 ――末井さんご自身も奥様(神蔵美子/写真家)と、「隣人を愛せよ」のように暮らしていますか? 末井:喧嘩することはチラホラありますよ(笑)。でも、仮にキレてもすぐ冷めますから、いつの間にか仲直りしています。そういう人がいることで救われていると思っています。  仮に仲の悪い夫婦がコロナ禍で外にも出られず、家の中にずっと一緒にいるのだとしたら、それは地獄ですよ。なので、コロナ禍で一番大事なのはやっぱり「大切な人と仲良くすること」だと思います。
隣人を愛せよ

末井さんは、これからは特に「隣人を愛せよ」が大切になるという(撮影:末井昭)

【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます <取材・文/松田義人(deco)>
音楽事務所、出版社勤務などを経て2001年よりフリーランス。2003年に編集プロダクション・decoを設立。出版物(雑誌・書籍)、WEBメディアなど多くの媒体の編集・執筆にたずさわる。エンタメ、音楽、カルチャー、 乗り物、飲食、料理、企業・商品の変遷、台湾などに詳しい。台湾に関する著書に『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)、 『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『台湾迷路案内』(オークラ出版)などがある
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