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バラエティ番組がまさかのドラマ化。フィクションは“事実”を超えられたのか

彼女の言う「テレビに映せないもの」

 最大の見どころは、我々と同じように日々を生きる名もなき一般人の、外見からは想像がつかない壮絶な人生に尽きる。  たとえば第2話。馬場ふみか演じる、見た目がちょっぴり派手な女・ゆりかは、不動産の宅建士をしているという。そんな彼女の家について行くと、「テレビに映せないものだけ隠しておいた」と言って、竜星涼演じるディレクター・玉岡を家にあげる。部屋にはブラなど下着類が放置されっぱなしでドキッとする玉岡だが、ゆりかは「これはただの布だから」と意に介さない。では彼女の言う「テレビに映せないもの」とは一体……。

愛し合う二人が実は…

 ここから話題はゆりかの彼氏の話に。このゆりかと彼氏、ふたりはなんと同じ地元で生まれ、年齢も、生年月日も同じなのだという。こんな運命的な出会いがあるだろうか? ふたりは導かれるように交際をスタートさせる。  付き合うまでは漫然と生きてきたふたりだったが、彼氏はTOEIC、彼女は宅地建物取引士の資格取得のための勉強をはじめ、互いに励まし合いながら生きていくようになる。そして、愛を深め合ったふたりは結婚を決意し、ゆりかの実家へと挨拶に行くことになるが……。ゆりかの母親と雑談していくうちにその出自がわかっていき、何とこのふたり、生き別れの双子であることが判明する。「地元が同じで生年月日も一緒」。これは運命的な出会いでも何でもなく、ふたりが双子であることのただの証明に過ぎなかったのだ。  この事実を「俺たちは出会っちゃいけなかったんだ!」と受け入れられなくなった彼は、自死を選んでしまう。「なぜ立ち直れたの?」とディレクター・玉岡に問われると、ゆりかはまっすぐ前を向き「彼との時間が幸せだったから」と言い切る。そして「ディレクターさん、私と結婚します?」と笑うゆりか。そう、冒頭で彼女が語った「テレビで見せられないもの」とは彼の遺影であり、自死を選んだという事実そのものだったのだ。
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“普通”とされる人たちがもつ、全然“普通”じゃない人生の強さ
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