更新日:2021年11月03日 18:14
仕事

国際線CAからコロナ転職した女性。「自分は成長していない」が発奮材料に

念願の国際線CAになれた矢先…

上田光 2019年3月に入社。1年目は国内線を担当した。 「CAといえば、ニコニコしながらジュースや機内食を配るイメージがあると思いますが、実際はお客様の命にもかかわる安全面の確認など“保安業務”が中心。裏では重たい荷物を運んだり、力仕事も多かったです」  年末年始も関係なく、基本的には4勤2休が続いていく。搭乗が早朝の便ならば、深夜2時に起床してタクシーで空港に向かう。そんな生活にも慣れてきた頃、2年目で念願だった国際線に。ようやく「これから」という矢先に新型コロナが猛威をふるう。 「国内線も国際線も減便になり、自宅でリモート研修の日々でした。CAの収入は基本給のほか、フライト時間による手当や現地での滞在手当などを足すことで成り立っているので、それが無くなってしまいました。私は寮に住んでいたので生活するぶんには困りませんでしたが、お給料、下がったなって……」  当初は楽観視していたが、それは夏を過ぎても収まらなかった。当たり前の日常が輪郭を失いゆくなかで、次第に焦燥感ばかりが募っていく。

コロナが奪った仕事「自分は成長していない」

「いちばん精神的にツラかったのが『仕事がない』ということ。20代でたくさんの経験を積みたかったんです。接客において、実務が何もないなかで『自分は成長していない』と思い悩むようになりました」  久しぶりに出社してみると、電気は消されて薄暗かった。ふだんは賑わっていた更衣室がしんと静まり返っている。コロナ禍が、多くの人たちの仕事を奪った現実を目の当たりにした。 「エミレーツ航空は大量リストラ。航空業界全体が落ち込み、この状態が何年続くかもわからない。希望者には出向して電話受付やデータ入力の仕事がありましたが、それは私のやりたいことではありませんでした。このまま成長を実感できないまま、時間を無駄にしたくない。そして、転職を意識するようになりました。ただ、自分は一歩外に出てしまえば、“スキルが何もない”と思って」  実際、転職活動には困難が待ち受けていた。
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「スキルが何もない」という現実
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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi

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