更新日:2021年11月03日 18:14
仕事

国際線CAからコロナ転職した女性。「自分は成長していない」が発奮材料に

一歩外に出てしまえば「スキルが何もない」という現実

「昨年10月頃から履歴書を送るようになったのですが、“未経験OK”と書いてある求人でもぜんぜん受かりませんでした。募集自体が少なく、“即戦力”を求めているんだなって」  上田さんはスキルを得るため、オンラインスクールでWebデザインとマーケティングを学ぶようになった。そのときに初めてパソコンを購入したという。自分にはなんの仕事が向いているのか思案した。 「デザインに興味があったのですが、やっぱり無理で。大学時代にマーケティングを勉強していたので、それを活かすかたちで広報などの仕事を探すようになりました」  そして今年1月、転職サイトで見つけた株式会社Enjin(エンジン)に入社することになる。 「家族にCAを辞めることを伝えたときは、驚いていました。『コロナなんてすぐに終わるよ』って。ただ、私としては現実を知り、長い目で見てキャリアデザインが思い描けるようになりたかった。最終的には、みんな応援してくれましたね」

未知なる世界での新たな挑戦

上田光 現在は、メディア関係者と企業をつなぐプラットフォーム「メディチョク」の広報担当として試行錯誤。コロナ禍で直接営業には行けないなか、Twitterでメディア関係者と思われる人たちに「取材先を探していませんか?」とDM(ダイレクトメッセージ)を送る。
上田さんのプロフィール

Twitterに投稿されている上田さんのプロフィール(提供写真)

 じつは、記者が上田さんと知り合ったきっかけもそれだった。彼女のアカウント(@h_chiaro)のプロフィールには「国際線CAからコロナ転職しました」と書かれている。そこで、「上田さん自身を取材させていただけませんか?」とお願いしたのだ。 「私が何者なのかわからないと思うので、どうしたら相手に興味をもっていただけて、なおかつ信用してもらえるのか工夫しているつもりです。『SNSに力を入れたい』という話を上司にしたら、どんどん挑戦してみなよと言ってもらえて」  入社後すぐに緊急事態宣言が発令され、基本的にはリモートワーク。マニュアルを見ながら不明点はチャットや電話で質問するなど、苦戦しながらも少しずつ慣れていった。
勉強

ゼロから広報の勉強に取り組んでいる(提供写真)

「最初は不安でしたね。業界に対する知識不足はもちろん、オンラインスクールで少しパソコンをいじっていましたが、ワードやエクセル、Googleのツールなども初めてだったので。YouTubeで見たり、本を読んだりして、自分で勉強する時間を意識的につくっています。  もしも隣の席に先輩がいれば3秒で聞けることでもリモートでは貴重な時間を奪っている感じがして。だから、顔を合わせてランチができたときは、なんだか安心しましたね」  また、CAとして培った経験は決して無駄ではなかったという。 「相手に対する気遣い。CAは1日何百人の知らない人たちと出会うので、それぞれに合わせた“距離感”を掴めるようになりました。また、常に“笑顔”でいられること。いっしょに働く人は笑っているほうが場の雰囲気も明るくなるじゃないですか。基本的なことですが、改めて大事だなって」  保安業務の名残で、今でもあらゆる場面で「指差し確認」をしてしまうという上田さん。とはいえ、CA時代にはなかった“数字”の目標とも向き合う。月末になれば、大忙しなんだとか。
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新たな目標
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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi

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