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基本給7万円の医療系からインフラ系へ転職。キツイ現場仕事でも「幸せ」なワケ

 コロナ禍がきっかけで働き方改革がいっそう進んでいる。仕事外の生活を充実させたいと、転職を考えている人も多いだろう。今の環境から抜け出したいと「コロナ転職」した人は、その後をどう過ごしているのか。今回は転職に大成功した20代男性のケースを紹介する。

コロナ転職で白衣から作業着へ

鍼灸

※写真はイメージです。以下同(Photo by photo AC)

「転職して大満足しています。この仕事に就いてから体も変わりました。 将来が明るいです!」  兵庫県で建設業に従事する孝史さん(20代・仮名)は、新たな人生に嬉しさを噛み締める。作業服の上からでも分かる、鍛えられた筋肉。どこからどう見ても「建設現場の兄ちゃん」な雰囲気の彼だが、コロナ前までは白衣を身にまとっていた。 「以前は整骨院で鍼灸師をやっていました。昨年退職し、今は電気工事士として働いています。転職自体はずっと考えていましたが、やめるやめると言いながらズルズル働いていたんです」  孝史さんは医療専門学校を卒業後、地元の鍼灸整骨院に就職。鍼灸師として3年働き、今の職へと移った。医療系とインフラ系、まるで違う職種。転職のきっかけになったのは、やはり将来への不安からだった。 「鍼灸師時代は朝7時半に出勤して、帰宅は毎晩22時の生活をしていました。土曜日は午後まで働いて、完全休日は日祝のみ。土曜も半休とはいえ、仕事が終わると社長との飲みやサウナに付き合わされ……いつも終電帰宅でした。そんな生活を送っているうちに、仕事と生活のバランスが取れなくなってしまったんです」  近年関心が高まっているライフ・ワーク・バランス(生活と仕事の調和)の考え。孝史さんの場合、仕事に追われてプライベートの時間が持てなくなってしまった。  入社前に聞かされていた労働時間も、実際にはまるで違っていたという。

基本給は7万円。ブラックな鍼灸師の世界

鍼灸「12時から16時までは中休みと決められていましたが、その時間には往診に行かされていました。午前診療が終わったら、昼食を食べてすぐに往診。戻ってきたら休む間もなく午後診療です。自分の時間も無いし、給料も悪かったです。基本給が7万円だったんですよ……」  残業代は無く、資格手当や交通費などを含めてトータルの額面は15万。手取りを考えると、ぎりぎり生活していける程度だろう。孝史さんは転職するタイミングを伺っていたが、なかなか機会が訪れなかった。行動を後押ししたのがコロナの流行だ。 「コロナが流行りはじめてから往診が無くなり、外来も1日3人くらいに減りました。その状況を見た時に、『自営業はあかん。安定した仕事にせな』って痛感したんですよね。鍼灸師は自分で店を開くしか将来の選択肢が無いんです。そうなると、今回のように何かあった時は閑古鳥が鳴いてしまいます」  帝国データバンクの調査結果によれば、そもそも整骨院(接骨院)市場はコロナ前から飽和状態にあった。背景にあるのは、平成10年に行われた柔道整復師専門学校の規制緩和、それにともなう有資格者・新規店舗の増加だ。  また、2000年代に入り、開業に公的資格を必要としない格安の「もみほぐし(マッサージ)店」も急増。店舗数増加と比例する形で、倒産件数も年々上がっていた。  ただでさえ競争が激しいところに、コロナ禍での来院・往診自粛。個人経営の店舗はもちろん、大手チェーンすら打撃を受けている。 「安定した仕事に魅力を感じるようになった」という孝史さんの選択は正しかったのかもしれない。しかし転職に際し、不安はなかったのだろうか。 「不安はまったく無かったです。『とりあえず辞めて違う仕事をせな』という気持ちが強かったので。最初はゴミ収集のトラック運転手をしようと考えていたんですよ(笑)。コロナでもゴミは出るし、ゴミ収集なら絶対に仕事が無くならないだろうと思って。でも、ハローワークの職員さんに止められたんです」
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