それだけではない。私は10年前、レクサスCTが登場したときに試乗したが、その際、足回りが固すぎて乗り心地が悪いと感じた。当時のレクサスはドイツ車コンプレックスが強く、やたら足をスポーティに固める傾向があったのである。 　ところが！ 10年落ち5万8000㎞走行のレクサスCTは、固すぎたサスペンションがちょうどよくこなれて、乗り心地抜群に！ それでいてハンドリングは実にシャープ。さすがリアダブルウィッシュボーンサスペンション。ボディもしっかり感があり、先代プリウスとはコストのかけ方が違うのを感じる。 「現代のクルマってスバラシイですね！ しかもハイブリッドカーは、13年落ちになっても自動車税が上がらない。ガソリンもレギュラーだし、ホントに最高です！」 　古典的カーマニアにとって、10年前の最先端は劇薬だったようだ。 　古典的カーマニアは、カネのかかるローテク車に乗っているので、クルマ好きのわりに最新装備をまったく知らない。彼らにとっての現代的なハイテク車は、原始人に現代薬のようなもので、効きすぎに注意だ。 1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中