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『カムカムエヴリバディ』業界人たちの評価「テンポの良さは秀逸だけど」

1話も見逃せないほどの急展開が吉と出るか?

 その一方でA氏は不安要素も口にする。 「私としては大満足なのですが、あまりにもスピーディな展開に戸惑う中高年視聴者も多いかなと思う一面はありますね。子供を授かって幸せの最中にある安子の日々が描かれていくかと思いきや、その翌日の話から戦禍に突入し、数話後には松村北斗さん演じる夫・稔が戦死したことを知るシーンが描かれるなど、朝ドラとは思えない急展開に。  ゆっくり朝食を取りながら見るというよりは、じっくり見ないとついていけない回も多い。テンポの良さは本作の魅力でもありつつ、中高年層が“置いてけぼり”を食らう可能性もあるかも」  これまでの朝ドラにないテンポ感がドラマの魅力や次回への引きの強さを生み出しているが、その反面で視聴率を左右すると言われる中高年層が離れていくリスクも背負っているようだが、『カムカム~』のスピーディな展開は吉と出るか、凶と出るのか……。

上白石萌音の絶妙な“幸の薄さ”と“芯の強さ”

 キー局ドラマのキャスティングに関わる映像制作会社の女性社員・B氏にも話を聞いた。 「ここまで欠かせず見て毎回心を動かされていますね。特に、不幸が続く安子を演じる上白石萌音さんの演技力の高さには驚かされています。『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)などの連ドラでは優しさや明るさのイメージが強かった上白石さんでしたが、悲しい現実に屈する演技や顔の表情が絶妙。“幸の薄さ”をここまで出せる若手女優さんは彼女以外にいないのでは。  それでいて、持ち前の芯の強さやピュアなイメージは残しているので、悲観的な印象だけでは終わらない。夫の死や嫁姑のトラブルに見舞われながらも自然と画面越しから応援したくなっている。これは脚本のうまさもありますが、彼女の演技と立ち振る舞いによるものが大きいでしょうね」  キュンキュン系の“恋愛ドラマの女王”から一皮むけた上白石萌音の演技力から目が離せない。
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世代を超える役者の入れ替わり
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テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。

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