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電動化か?スポーツカーか?「今年の1台」に選ばれたクルマの評価

10点を投じたGR86/BRZ

 そんななか、筆者がCOTYの選考で満点の10点を投じたのはGR86/BRZだ。初代に続くトヨタ/スバルの協業モデルにして純粋なスポーツカーで、’12年の初代登場時にも筆者は10点を投じた。「売りっ放しにせず育て、中古車市場でも輝く存在にする」とは、初代86開発責任者のトヨタ自動車・多田哲哉氏の言葉だが、初代は中古車市場でも人気があり、スポーツカーの間口は広がったと言えよう。
オートクラブ

2位 トヨタ/SUBARU GR86/SUBARU BRZ 264点

 そして’21年登場したのが2代目となるGR86/BRZだ。「環境対策や電動化が求められる御時世にスポーツカー推し?」とのご指摘はごもっとも。ただ、クルマというものは、三大基本性能の「走る、曲がる、止まる」を突き詰めなければ、その先にある性能の良い先進安全技術や自動運転技術を生かせない。電動化もしかりだ。その意味で、厳しいコスト制約のなか基本性能を突き詰めた2台の開発プロセスで得られた知見は、来るべき電動化&自動車社会にとっても有益だろう。279.9万円~という低価格もすばらしい。

4つの部門賞

 そのほか、4つの部門賞で筆者が評価したクルマは以下の通りだ。  デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーは、BMW4シリーズとVWアルテオン・シューティングブレークを推した。特に4シリーズは二度見してしまうデザインがすばらしい。標準モデルだけでなくMモデルの力強い風貌にもマッチする顔つきは、新世代BMWを象徴している。アルテオン・シューティングブレークは、極限まで低いボンネットフードと流麗なルーフラインなのに、優れた乗降性と開放的な車内や広いラゲッジルームなど、相克の克服を評価した。  テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーは、燃料電池車MIRAI。欧州のEV旋風にもビクともしない独創的な電動化技術は日本のお家芸。自動運転レベル3を見据えた冗長性設計がなされたAdvanced Driveも推挙理由だ。  パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤーはコルベットを推した。往年の味わいが薄いとの声もあるがV型8気筒6.2リッターの加速は麻薬。それでいて気筒休止でV4エンジンになり高速ではリッター12㎞超え。右ハンドル仕様で視界が広く乗りやすいといったギャップもいい。  K CAR オブ・ザ・イヤーはN-ONE。先代から外観を大きく変えず中身を一新。「見た目が同じ!」と否定的な意見もあったが、乗って納得。スポーツグレードのRS(ターボ仕様)には6MTもある。  筆者は常々、パーソナルモビリティとしての素養と、30年後の自分が安心して乗れるクルマ作りがなされているかを基準にクルマを評価しているが、みなさんは今回選ばれたクルマをどう評価するだろうか?
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得点表
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