廃墟化する温泉街…立ち並ぶ無惨なバブル崩壊の爪痕。鬼怒川、水上etc.
第7波の懸念はあるものの、早ければ6月から新たなGo To トラベルが再開されるかもしれない――。
再開されれば、有名観光地は前回を超え、どこも人で溢れかえっていることだろう。しかし、いざ憧れの温泉街で露天風呂に浸かってみれば、眼前に広がるのは風光明媚な渓谷ではなく、廃墟が立ち並ぶ異様な光景だった……となるかもしれない。
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「栃木県日光市の鬼怒川温泉。東武鉄道が本格的に開発し、東京から電車一本で行ける日本有数の温泉地です。ところが、いまは営業中のホテルの対岸にはバブル期に建設された大型旅館の廃墟が広がっています。その現状をユーチューブにあげたところ、3週間で60万再生されました」
こう語るのは、鉄道系ユーチューバーのとちまる氏。拠点の新潟を中心に日本全国を旅して動画をアップしているが、出身地の栃木らしいネーミングにするほどの、地元愛がある。
「鉄道の車窓から眺めていると、特に地方では廃墟をよく目にします。かつて栄えていた銅山、採石場、油井櫓の跡とか。廃墟から地元の歴史や産業の移り変わりがわかるのが面白くて興味を持ちました。
鬼怒川温泉の廃墟をアップした動画には『新人研修で缶詰めにされながらも、最終日には飲み明かしたあのホテルが廃墟になっている』と、かつての賑わいを知っている世代からは、思い出とのギャップに驚く声が多かったです」
廃墟化が懸念される温泉街は鬼怒川だけではない。ホテル評論家の瀧澤信秋氏は、全国に点在する廃墟問題の背景をこう解説する。
「観光地の宿泊施設はバブル期に慰安旅行や研修の団体客を呼び込もうと大型化。それがバブル崩壊とともに、『団体から個人』へと旅行スタイルが変わった。多様化するニーズに、大型宿泊施設はついていけない。
特に北関東の温泉街は首都圏からの団体客の争奪戦に、過剰な設備投資を進めていた。’03年、鬼怒川や那須塩原のメインバンク的存在だった足利銀行が経営破綻した影響も大きかったでしょう。
その後は、倒産した温泉観光ホテルを買い取って、リブランドする企業が出てきた。一泊2食付きで6000円以下の格安ツアーを展開する『おおるりグループ』は、一時は高速道路を走ると前も後ろもおおるりの送迎バスというぐらい盛況だった。
でもコロナ禍で多くが閉館。コロナで『個』へのシフトが加速したため、温泉街の廃墟化がさらに進む恐れもある」
有名温泉街に立ち並ぶ無惨なバブル崩壊の爪痕
コロナで『個』へのシフトが加速
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