更新日:2023年08月30日 20:13
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廃墟化する温泉街…立ち並ぶ無惨なバブル崩壊の爪痕。鬼怒川、水上etc.

進まない廃墟ホテルの撤去。Go Toで変わるのか?

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温泉王国「群馬」でライバルの草津や伊香保が街全体で温泉街を盛り上げるなか、水上温泉には廃墟が残る

 温泉街の廃墟は観光地の風情を損なう。それが、なぜ数十年も放置され続けたのか。瀧澤氏が続ける。 「オーナーの自己破産や、権利関係が複雑だったり。さらに撤去しようにも大きければ、解体コストは億単位にものぼる」  レアなケースもあるという。 「長野県信州戸倉上山田温泉にあった『信州観光ホテル』。昭和26年の開業当初は木造3階建て。昭和40年代からの温泉旅行ブームに乗って、増築を繰り返し、約400人収容できる大型観光ホテルになった。  しかし、バブル崩壊後の’97年に営業停止。長らく巨大迷路の廃墟として愛好家の間では有名でした。山腹にあるので解体も難しく、公売にかけても買い手はつかない。それが’20年3月にようやく買い手が見つかった。その会社は解体事業も手がけているので、自社で撤去を進められました。今後が注目されます」(瀧澤氏)

廃墟を逆手にとった復興策は?

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塩原温泉(栃木県)。廃墟は広範囲に点在している。時代を感じさせるものだけでなく、最近、閉館となったような外観のきれいな大型ホテルも。コロナ禍で廃墟問題はさらに喫緊の課題となっているようだ

 とちまる氏のように廃墟には一定数のファンもいる。廃墟を逆手にとった復興策はないのだろうか。とちまる氏が話す。 「廃墟の魅力は、異世界感があるからだと思います。普段の生活では感じられない非日常。でも温泉街の廃墟は、そこで働く人たちにとっては切実な“日常”の問題です。だから、やはり廃墟はなくなってほしい。最初は“廃墟ツアー”がきっかけでもいい。鬼怒川温泉をはじめ栃木の温泉街に足を運んでもらえれば、魅力を再認識してもらえるはず。  Go Toでは、地域共通クーポンで切符を買うという裏技があります。旅先に宿泊した翌日からクーポンは使えるので、それで地域フリーパスを買う。存分に観光地を堪能でき、帰りの旅費はフリーパスの範囲内の差額が浮きます。ぜひ栃木にお越しください」 温泉 瀧澤氏は「いまほど旅行が快適な時代はない」と指摘する。 「結局のところ宿泊業は“人間力”なんです。コロナ禍で、多くの宿泊施設はお客さんが少ないときに、スタッフ同士でサービスを見直し、ホスピタリティが大きく向上した。そしてコロナ対策もあり、歴史上もっとも清潔なホテルに宿泊できる。コロナ後の温泉街は盛り返すと願いたい」
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看板のつけ替えで観光客を呼び戻す
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