プーチンの頭の中はどうなっている?貧乏時代にネズミから学んだこと
でも、私達はそのような“強い男プーチン”をネタとして楽しんできたフシがあります。上半身裸で白馬にまたがるプーチン。オリンピック選手を背負い投げするプーチン。アイスホッケーでガンガンぶつかるプーチン。狩りをするプーチン。
アメリカのソングライター、ランディ・ニューマンが2017年に発表した「Putin」も、そうしたイメージを揶揄する曲でした。
歌詞はこんな内容です。巨大なトラクターを乗り回し、すぐにシャツを脱いで肉体を見せては、女性たちを喜ばせる。そんなプーチンこそ、レーニンもスターリンも出来なかった偉業を成し遂げてくれる。そう、ロシア国民を“約束の地”へと導いてくれるのだ、と。熱狂的なプーチン支持者の視点から、皮肉をこめたわけですね。
けれども、ニューマンはただのジョークでは終わらせませんでした。真のメッセージを、サウンドと楽曲に託したのです。不協和音を多用したクルト・ワイル的なキャバレーソングに仕上げることで、プーチンがヒトラーと同類であることを浮き彫りにする。『三文オペラ』の音楽や「Mack The Knife」などの楽曲で知られるクルト・ワイル(1900-1950)は、ドイツ生まれのユダヤ人作曲家。ナチスの暴力から逃れるためにフランスやアメリカへの亡命を余儀なくされる人生でした。
そうした背景を持つワイルの曲調をモチーフにすることで、プーチンもいつか暴発し得る脅威であると訴えていたのですね。
2017年当時、笑って「Putin」を聴いていたことを、筆者は正直に告白しなければなりません。まったくもって甘かった。良くも悪くも“プーチン信仰”が崩壊したいま、ランディ・ニューマンの警告が重たく響きます。
ウクライナ情勢の結末は、いまだ不透明なままです。プーチンは、ついには核の使用までちらつかせる始末。『The Telegraph』の記事は、こう結ばれていました。
<問題は、プーチンを止められる人物がいるかどうかである。>
<文/石黒隆之>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
わかりやすすぎるマッチョ映像を見るたびに“またやってるよ”と思いながら、あくまでもそれはサービスに過ぎず、実際は冷静で合理的な現実主義者であると信じ込んできたのです。
マッチョなプーチンを皮肉る5年前の曲が注目されている
歌詞はこんな内容です。巨大なトラクターを乗り回し、すぐにシャツを脱いで肉体を見せては、女性たちを喜ばせる。そんなプーチンこそ、レーニンもスターリンも出来なかった偉業を成し遂げてくれる。そう、ロシア国民を“約束の地”へと導いてくれるのだ、と。熱狂的なプーチン支持者の視点から、皮肉をこめたわけですね。
プーチンの暴走を予言していた?
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