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“台湾の小松菜奈”と呼ばれる女優・陸夏、転機は「OLを辞めた25歳」

女優は、自分の中に押し殺してきたものを解放できる

ルシア

写真(C) 長谷工作室

――ネットでオーディションを探したり、1年間はOLを辞めないと課したり。しっかりした印象ですが、ご自身をどんな性格だと感じていますか? ルシア:ある種、中庸的なバランスが取れた人間だと思います。割と器用なタイプで、何か新しいものを吸収するにも臆することなく、合格ラインまでは出せる。でも、それが自分が理想とするレベルにまでは達していない感じ。 ルールに違反しない人間だとも思います。台湾では18歳まではお酒やたばこが禁止ですが、私も18歳までいい子として過ごしていましたし、車が通っていない場所でも、赤信号を渡ったら不安になる子でした。趣味にしても、お花を生けるとか、パンを焼くとか、無害なものが多くて、争いごとも避けてきました。 でも、奥底の部分ではどこかに苛立ちも持っていて、それを理性で抑え込んで過ごしてきた気がします。そうした苛立ちというのは、自分の中にある反骨精神だと思います。女優という仕事では、そうした押し殺してきたものを解放できると思っています。

“私は女優よ”。監督からのアドバイスを胸に

――では、ある意味で女優業は天職かもしれませんね。 ルシア:でも不安だらけです。撮影中、初めての長編映画出演で、主役ということで、プレッシャーもあり、自信が持てないままに撮影が進んでいたときがありました。そうしたときに、親友に日々メッセージを送って、「私、大丈夫かな。大丈夫だと言って」とお願いして、私を肯定してくれるメッセージをたくさん送ってもらっていました。 とてもありがたかったですが、同時に、それは自分が親友に言わせていることでもあるので、本当に心に響くわけでもなかったんです。あるとき、奥原監督に「自分が役者であることを信じなさい。“私は女優よ”と自分自身に言って信じ切りなさい」と言われました。そのアドバイスがきっかけとなり、目の前の役にフォーカスして挑むことができました。
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自分への肯定があるがゆえの不満
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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