「寺サウナ」のコンセプトは、瞑想×サウナで究極のマインドフルネスを得ることです。サウナと瞑想の親和性は高く、相乗効果が期待できます。 　ストレス解消、集中力の向上、衝動的な行動の抑制など、瞑想は現代社会を生きる上での有用性が全世界で認められています。ただ、瞑想状態に入るためには雑念を取っ払い、呼吸に意識を向ける必要があり、初心者にとってはあまりにもハードルが高い。一方で、サウナに入ると心拍数が上がり、血流がめぐっていく明確な身体的変化を感じ取ることができるため、雑念を手放しやすい。自然と瞑想に必要な状況を作り出され、サウナから瞑想へとスムーズに移行することができます。 　だからといって、「そのためだけにお寺でサウナを⁉」と思われる方もいるでしょう。もちろん、私の突拍子もないアイデアにご住職や檀家の皆様を付き合わせてしまっているわけではありません。実はサウナ（蒸気浴）を施設として初めて作ったのはお寺だと言われているのです。サウナと瞑想の組み合わせは、お寺としても違和感がないどころか、「サウナの発祥地であり、瞑想の発祥地でもあるお寺で双方の原点回帰をしよう」という合理的な試みなのです。 　また、今の若い人にとって、お寺は「お墓参り」「困ったときの神頼み」「安易に近づいてはいけない場所」といったネガティブなイメージが強いのではないかと思っています。しかし、本来お寺は人々が気軽に集まれるコミュニティスペースとしての機能を果たしており、地域の人々の憩いの場でした。「寺サウナ」を行うことによって、そうした役割を現代に復活させ、お寺を中心とした地域創生にも貢献できればと考えています。 　さらに、お寺と言えば、漠然と縁結びを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。寺婚式、仏前結婚式・仏前式といえば、日本で最も歴史のある結婚式の一つでもあります。そこで、寺サウナと恋活・婚活の意外な相性の良さについてもお話します。 　実は以前、お寺ではありませんが、サウナーによる、テントサウナ婚活という企画を実施しました。サウナという共通の趣味を持っている時点で男女の心の距離は近いのですが、テントサウナで行う利点は、物理的にもグッと距離が縮まるということです。距離が近いため「何か話をしなきゃ」という気持ちにもなるし、サウナにはルーティンがあるので、話が盛り上がっていても途中で切り上げないといけず、名残惜しさもあり、心拍数が高まることから、もしかしたら吊り橋効果なんかもあるのでは？　と考えます。 　一方で、本来サウナーにとって、サウナは自分と静かに向き合う場所であるため、別に話ができなくて黙っていても気まずさは全くない。むしろそういったサウナの入り方で相性もわかるとも言えます。 　そこに、お寺で開催という安心感も重なれば、マッチング率もかなり上がるのではと思っており、近いうちに寺サウナでの縁結びイベントを予定しています。