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転職繰り返し年収10倍超!転職のカリスマが教える「市場価値を爆上げ」するキャリア戦術

発展と成熟の隙間を狙え

—— IT技術を持たない人や、非IT産業で働いている人が、成長産業に転職することはできるのでしょうか。 森山 結論から言えば「できます」。というかむしろ、これからの時代は、ITと無縁でいられる産業がなくなっていくのだと思います。どんな産業でもテクノロジーが関係しますし、そうでないと確実に衰退していきますから。 よく「私でも転職できますか」とメッセージをいただくのですが、みなさんITを買いかぶりすぎだと思います。デジタルトランスフォーメーションとか、DXと言っていますが、日本におけるDXはまだ人間がしていた業務をコードが自動化しているだけなので、身構える必要性はありません。 前職のメルカリでも、ビズリーチでも、非IT産業から転職してきた人がたくさんいました。もちろん、みなさん仕事ができる人たちでしたが、かといって全員が「テックに強い」かと言えば、そんなことはなかったと思います。成長産業と聞いて、ソフトウェアエンジニアばかりを想像しすぎなんだと思いますよ。それは、「トヨタで働いている人は、誰でも自動車がつくれる」くらいの誤解です。そんなわけないですよね。 山下 テクノロジーを原資に急成長を遂げる会社にも、営業部や経理部はありますからね。入った後にどうするかは考える必要がありますが、入社時点での間口は想像以上に広いと思います。 テクノロジーとの関わり方に不安があっても、まずは入社して、それからキャッチアップすればいいだけです。採用する側は100%のスキルを持った人が欲しいと思いますが、80%のスキルでも採用してもらえますから、問題ありません。 —— 入社しやすいタイミングはあるのでしょうか。 山下 もちろん、あります。僕は転職には「受かりやすいタイミング」があると思っています。それが、個人の能力よりも企業が「人が大量に欲しい」というニーズが強くなる時です。

「DIAMOMD online」より

自分が行きたい業界や会社群を決ざっくり決めたら、それらの会社の「採用条件が緩くなる大量採用のタイミング」を見極める。このやり方で、僕はスバル、PwCコンサルティング、デロイト トーマツコンサルティング、その他の外資系コンサルティング・ファームやITメガベンチャーに内定をもらいました。 僕がスバルに転職したタイミングは、まさに大量採用の時期でした。当時、スバルは業績が急速に伸びていて、とにかく人手が必要な時期だったんです。デロイトに転職できたのも、コンサルティング業界での採用ニーズが高まっていたことが関係しています。需要の高まりによって採用要件が緩和され、僕もその恩恵を受けました。 森山 「大抜擢」が頻繁に起こる理由でもありますが、急成長企業は慢性的に人材不足なんです。事業の成長とともに、組織のなかでは日々とてつもないスピードで新しい仕事やポジションが生まれています。それなのに、現場では常に人が足りない。この需給ギャップにチャンスがあります。 急成長企業で働くメンバーたちは、よく「今だったら絶対に自分は内定をもらえていない」と謙遜混じりに言いますが、入社するタイミングが重要だという意味なんだと思います。

非エリートの僕らが伝えたいこと

—— 山下さんは、書籍の中で「メンタルブロックの壁」について言及されていました。「どうせ自分なんか」という思い込みを外すためには、どうしたらよいのでしょうか。 山下 メンタルブロックは、外さずとも、見つければいいんです。 キャリアを振り返ると、最大のターニングポイントは海外工場の立ち上げ責任者を任されたときでした。海外で働いていた人たちは、転職するために必死で勉強するし、大学にも通っていたし、「次はこの会社に行きたいんだ」と上司に話します。 日本ではタブー視されていますが、「これが海外のスタンダードだ」と知ったことで、自分も頑張ろうと思えました。それまでは「どうせ無理だよ」が口ぐせでしたから。 森山 僕も28歳のときは、実家でゴロゴロしているニートでしたからね。その後は飲食店でアルバイトをしていましたが、当時の年収は160万でした。現在はテック業界で働いていますが、もともとITに明るかったわけでもなく、きっかけは趣味でやっていたプログラミングです。英語だって、仕事で必要になったので、無理やり身に付けたものです。 山下 決してエリートではない僕らが言うので信じてほしいのですが、大切なのは「過去の自分の延長」で未来を考えないことです。誰にでも苦手なことはあるし、能力的にどうしても越えられない壁はあります。でも、やってみないと、そこが壁なのかは分からない。だから、あれこれ悩むくらいなら、とりあえず「やってみること」ですね。 森山 同感です。山下さんが言うように、挑戦する前から諦めてしまうのは、あまりにもったいない。自分が働く動機を他人に求める「モチベーションくれくれ君」にならず、主体的にキャリアをつくる意思がありさえすれば、誰にでも理想とするキャリアを手にできるチャンスがあるのが、変化のスピードが速い現代の特徴です。 <取材・文/オバラミツフミ>
早稲田大学卒業後、リクルートや新規サービスの立ち上げを経て2013年に株式会社ビズリーチに入社し、求人検索エンジンの開発を担当。2016年から株式会社メルカリでJP/USの検索アルゴリズム改善やAI出品機能を開発しHead of Data/AI/Searchとしてエンジニア組織を統括。2020年からスマートニュース株式会社でテクニカルプロダクトマネージャーとしてダイナミック広告の開発をリードしつつ、メルカリShopsを開発・運営する株式会社ソウゾウを支援。SNSでは「たいろー」名義でテック業界の動向や転職、キャリアに関する自身の考え方を発信し、人気アカウントになっている。初の著書『Work in Tech!ユニコーン企業への招待』が発売中。Twitter/@tairo、Voicy/「ユニコーン転職ラジオ

Work in Tech!ユニコーン企業への招待

テクノロジーに殺されない、働き方&キャリア実践論


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