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転職繰り返し年収10倍超!転職のカリスマが教える「市場価値を爆上げ」するキャリア戦術

「新卒で入社した会社で定年まで働く」というキャリアプランが随分と古いトレンドになり、転職こそがキャリアアップのメジャーな選択肢になった現代。転職によってキャリアを積み上げてきたビジネスパーソンは、SNSを中心にインフルエンサー化することもある。 『Work in Tech! – ユニコーン企業への招待』の著者・森山大朗(たいろー)氏と『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』の著者・山下良輔氏は、どちらも戦略的な転職によってキャリアを築いてきた、いわば“転職のカリスマ”だ。 キャリアトレンドの移り変わりを象徴するかのような二人は、いったいどうやってキャリアの“ジャンプアップ”を実現したのだろうか。年収160万円のフリーターからユニコーン企業を渡り歩く注目のビジネスパーソンに転身した森山氏と工業高校出身で外資系コンサルに入社した山下氏のクロストークを通じて、市場価値を飛躍的に高める転職のテクニックについて探っていく。

【森山大朗氏】早稲田大学卒業後、リクルートや新規サービスの立ち上げを経て2013年から株式会社ビズリーチで求人検索エンジンの開発を推進。2016年には株式会社メルカリ、2020年にはスマートニュース株式会社と、次々にユニコーン企業へと転職してきた。ブログやSNSでは「たいろー」名義で転職やキャリア、テック業界についての情報を発信し、人気アカウントになっている。Twitter/@tairo

【山下良輔氏】Exception株式会社代表取締役。2008年に松田電機工業所(自動車部品メーカー)に入社し、2014年にSUBARUに転職。その後はコンサルティング・ファームへと転身し、2018年〜PwCコンサルティング、2019年〜デロイトトーマツコンサルティングにて勤務。2021年に独立し、現在は企業の組織設計、採用支援、キャリア開発などを行う。Twitterでも転職・キャリアについての情報発信を積極的に行っており、20代、30代から支持を得ている。Twitter@RyosukeYamashit

転職するなら、急成長企業一択

—— 転職によってキャリアを築いてきたお二人が考える、転職するのにお勧めしたい会社の特徴を教えてください。 森山 詳細は拙著『Work in Tech! – ユニコーン企業への招待』に書いていますが、急成長企業一択だと思っています。成長途上の会社は、知名度もなく、潤沢な資金力があるわけでもないので、すでに活躍しているプロフェッショナル人材に参画してもらうことが難しい。だからこそ、大企業ではありえない「大抜擢」が頻繁に起こります。つまり、自分だけでは到底つくり出せない挑戦の機会が、次々にやってくるのです。 一方、成長が鈍化しているどころか衰退局面に入っている企業は、会社を支えながら年齢を重ねる社員たちに、新たなチャレンジやワクワクするような成長機会を提供できず、やがて社内では限られたポジションのいす取りゲームが始まるので、たとえ規模が大きくても積極的にお勧めはできません。 また、急成長企業は、「ベンチャーの気風を持った大手企業」になり得る可能性があります。チャレンジする機会が多いだけでなく、事業成長に比例して給与も上がりやすいので、変化を厭わない人には魅力的です。 山下 僕も若い世代には急成長企業をお勧めします。もちろん大企業でも質の高い学びを得ることはできますが、あまりにも社員の数が多いので、打席が回ってくる確率は低い。転職が当たり前の時代において、「誰かに見つけてもらえるような実績」を積めないのはリスクです。 大企業を転々として「何をやっている人か分からない状態」になるのは避けたいので、基本路線は打席に立つ機会の多いベンチャー企業になると思います。 森山 ただ、規模が小さければいいというものでもないんですよね。事業規模を追ったりや、急激な成長を志向しない会社も当然あって、そこに成長を求めて入っても筋違いですし、得られるものも少ないので。 一方、急激な成長を志向し、実際にそれが実現している企業に身を置いていると、そこに吹いている“追い風”の恩恵が得られます。僕は急成長企業(業界)で働くことを「上りのエレベーターに乗る」、衰退している企業(業界)で働くことを「下りのエレベーターに乗る」と表現しています。下りのエレベーターの中でいくらジャンプしても、低い位置にしか行けませんが、上りのエレベーターの中でジャンプしていれば、ジャンプ力が足りない人でも高い位置まで到達できますよね。 山下 「成長している企業に在籍している」というだけでも、市場価値が上がることがありますからね。

山下氏、森山氏ともにSNSで転職・キャリアの情報を発信。転職相談を多くよせられる人気アカウントになっている

“含み資産”が得られる環境を探せ

—— お二人は、転職によって給与を右肩上がりで伸ばしてきたのでしょうか。 山下 僕はそうですね。部品工場から自動車メーカー、自動車メーカーからコンサルと、平均給与が高い業界に転職をした結果、給与が右肩上がりになりました。 森山 僕は、最初の転職では年収が250万円ほど下がりました。給与のことを気にしていなかったというのもありますが、インターネット業界にもかかわらず「急激な成長を志向しない会社」だったので事業規模が伸びず、成果に応じて年収が上がるということもありませんでしたね。 でも、業界経験という“含み資産”を得ることはできました。これから伸びていくインターネット産業に自分の所属をシフトできたので、その点に限ってはいい選択をしたと思います。新卒ではリクルートグループに就職したのですが、そこで仕事を続けていても、それなりのキャリアにはなったと思うんです。しかし現在は、そのままだと絶対に成し得なかった独特なキャリアに到達しています。 —— 給与が下がっても、市場価値は上がるということもあるんですね。 森山 「市場価値」をどう定義するかだと思います。「市場価値=年収の絶対額」なのであれば、最初の転職で僕の市場価値は下がっています。 でも、これから伸びる産業にシフトし、需要が高騰する職務経験を得たという意味では、いずれ市場価値につながる含み資産は高まっていたのかもしれません。あくまで結果論ですけどね。 山下 森山さんのように、たとえ年収が下がろうとも、これから需要が高まるであろう産業や職種にジョブチェンジして、将来的な年収を高める人もいますよね。彼らはまだ誰も気が付いていないうちに“追い風”が吹く環境を見つけ、会社の成長とともに個人の市場価値が上げていきます。 森山さんの“ユニコーン転職”は、まさに代表例だと思います。伸びていく企業で、需要が高まる職種に就いていたので、当然のように給市場価値が高まりますよね。 —— 将来的に需要が高まる職種は、どのようにして見つければいいのでしょうか。 山下 数年前まで存在していなかった職種は、市場価値が高まっていく可能性が高い傾向にあります。そもそも人がいませんから。森山さんは「テクニカル・プロダクト・マネージャー」ですが、まさに新職種ですよね。 営業職でいえば、「The Model」が提唱されたことで、インサイドセールスやカスタマーサクセスという職種が誕生しました。もともと役割としては存在していましたが、誰かが兼務していたんです。しかし、それが重要だという認識が広まり、ポジションとして確立されました。ニーズが高まったので、それに比例して市場価値が高くなったのです。 森山 まさにそうですね。とはいえ、新職種はそうそう頻繁には出てきません。気が付いた頃には、人気になっています。可能であれば、メディアで話題になる前にチャレンジしたいですね。 山下 森山さんは海外の事例を調べることもあるんですか? 海外のトレンドは数年遅れて日本にやってくるので、先に情報を掴めるのはアドバンテージですよね。 森山 今でこそ英語が話せるので、海外の動向に目を向けることもあります。とはいえ、以前はTOEIC400点台でしたからね……。やっていたことがあるとすれば、ビジネスでアンテナが立っている人や、海外トレンドを発信している人をツイッターでフォローしていたくらいです。みなさんとやっていることは同じだと思います。それでも真剣にやれば、しっかりトレンドは掴めるはずです。
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発展と成熟の隙間を狙え
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早稲田大学卒業後、リクルートや新規サービスの立ち上げを経て2013年に株式会社ビズリーチに入社し、求人検索エンジンの開発を担当。2016年から株式会社メルカリでJP/USの検索アルゴリズム改善やAI出品機能を開発しHead of Data/AI/Searchとしてエンジニア組織を統括。2020年からスマートニュース株式会社でテクニカルプロダクトマネージャーとしてダイナミック広告の開発をリードしつつ、メルカリShopsを開発・運営する株式会社ソウゾウを支援。SNSでは「たいろー」名義でテック業界の動向や転職、キャリアに関する自身の考え方を発信し、人気アカウントになっている。初の著書『Work in Tech!ユニコーン企業への招待』が発売中。Twitter/@tairo、Voicy/「ユニコーン転職ラジオ

Work in Tech!ユニコーン企業への招待

テクノロジーに殺されない、働き方&キャリア実践論



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