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東京に続いて大阪も“上乗せ”禁煙条例。喫煙所の整備を疎かにしてはならない

大阪万博を見据えた禁煙条例

大阪万博 夢州

2025大阪万博の開催地である「夢州」

 国際イベントを控えた自治体の長にとって、たばこを槍玉にあげることが世界に対して国際化をアピールする大義名分…ということかもしれない。  3月2日、大阪市の松井一郎市長は市内全域を路上喫煙禁止とする旨を明らかにした。2025年4月から開催される大阪万博を見据えたもので、「世界中から認められる都市を目指していきたい」と語っている。  同様に大阪府では、19年3月に交付された大阪府受動喫煙防止条例が今年、22年4月から施行されている。大阪市の路上禁煙禁止条例とは別に、飲食店に対して国の法律である改正健康増進法(20年4月より施行)よりも客席面積基準を厳しくし、従業員がいる店は原則禁煙と、条件を“上乗せ”をしたものとなる。これは、「たばこのない五輪」を掲げ、現在も継続して施行されている東京都の受動喫煙防止条例と同じ流れだ。

国の法律よりも厳しい自治体独自の規制

“上乗せ”とは何か、改めて説明する。日本の法律では、望まない受動喫煙の防止を掲げた改正健康増進法を2020年4月より全面施行している。学校や病院、児童福祉施設などは全面禁煙で、飲食店は、店舗の開店時期や客席面積等の様々な条件によって、店舗における禁煙・喫煙のルールが定められている。  その中でも、既存店舗であり、客席面積100㎡以下かつ資本金5000万円以下等の一定の条件を満たすお店であれば、経過措置として全席喫煙を選択することも可能となっている。が、東京、大阪等ではこれに“上乗せ”して、客室面積100㎡以下であっても、従業員を雇用していれば「原則禁煙(専用室設置可)」。さらに、大阪で全面施行される2025年4月からは、従業員を雇っていなくても、客室面積100〜30㎡の店舗は、「原則禁煙(専用室設置可)」となる。  路上喫煙禁止を打ち出した松井大阪市長は「受動喫煙をやめるのが世界の潮流」と語り、大阪府受動喫煙防止条例も「万博開催の2025年を目指し、国際都市として、全国に先駆けた受動喫煙防止対策をすすめる」を趣旨としている。  確かに建物内を禁煙にするのが世界の潮流であることは間違いない。が、屋外での喫煙に寛容な諸外国と違い、日本は、路上喫煙や歩きたばこを禁止する条例など、屋外から規制を強めてきたという違いがある。路上喫煙も禁じられている日本では、屋外でたばこを吸えるのは指定された喫煙所のみ、ということとなるが、その数が足りているとはいえない。事実、喫煙所の整備が不十分なエリアでは、多数の喫煙ジプシーが発生。周辺の路地裏、コインパーキング、公園など、人気のない場所での路上喫煙、ポイ捨てが目立つこととなった。
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“野良たばこ”の責任はどこにある?
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