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元ちとせ・宇多田ヒカルの生歌に衝撃…圧倒的な“個性”の副作用

元ちとせの生歌に賛否

元ちとせ

元ちとせ『ハイヌミカゼ』/Sony Music Entertainment

 4月18日放送の『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)で「ワダツミの木」を歌った元ちとせに対して、賛否両論が巻き起こっています。東京の亀戸天神からライブで披露した歌が、まったく精彩を欠いていたのです。    高音は出切らず、苦しい息継ぎ。本来ならば小気味良い奄美民謡独特のこぶしも、咳を飲み込むようにブツ切れで、ひとつづきのフレーズではなくなっていました。ギッコンバッタンとつまづき続ける歌が、壮大なサビのメロディを引き裂いてしまった。曲が台無しになった怒りよりも、歌い手が心配になるほどに悲痛な場面でした。  屋外で雨という悪条件は考慮すべきなのかもしれません。一部ネット上では、不調だからこそ“プロの気迫に感動した”との感想もありましたが、大半は音楽として聞くにはキツいと感じたようです。

独特すぎる歌唱法の副作用か?

   それでも、元ちとせを擁護する点があるとすれば、それは独特な歌唱法の副作用です。奄美民謡をバンドサウンドにぶつけて高いキーで歌うことは、相当にアクロバティックな特殊技能だからです。  特に「ワダツミの木」は、デビュー曲にして歌手の120%を引き出すほどに鬼気迫る楽曲です。その儚さゆえに、危ういバランスの上に成り立つ個性がきらめいたと言っても過言ではありません。その意味で、今回の“放送事故”は想定しうる事態だったわけです。  キーを下げる選択肢もあったはずですが、そうすると楽曲全体のトーンが変わってしまう。2002年に「ワダツミの木」が与えたインパクトを思えば、オリジナルのまま歌わざるを得なかった。そんな苦しい判断がもたらした不幸だったのではないでしょうか。
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宇多田ヒカルも…
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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